地方で相次ぐ夕刊の休刊

新聞の夕刊が次々と姿を消している。北海道新聞や静岡新聞といった有力な地方紙が夕刊の発行をやめた。朝日新聞や毎日新聞などの全国紙も「朝刊のみ」の地域を増やしている。この20年で、夕刊の購読者数は4分の1に減った。

「静岡新聞の夕刊販売部数は約53万部で、北海道新聞は約23万部でした。この2つが夕刊をやめたインパクトは大きかったですね」

そう語るのは、元時事通信記者で、現在はメディア激動研究所長の井坂公明さんだ。

静岡新聞は2023年3月末、北海道新聞は同年9月末に夕刊を休刊した。同じ時期に、信濃毎日新聞も夕刊をやめている。24年に入ってからも、新潟日報が2月末に夕刊と同じ時間帯に宅配していた「おとなプラス」を休刊した。

全国紙も夕刊を発行する地域を縮小している。24年3月末には朝日新聞が北海道で夕刊を休止した。同じタイミングで、毎日新聞は大津市や姫路市などで夕刊の発行をやめた。いまや夕刊が配られているのは、東京や大阪、名古屋などの大都市圏に限られつつある。

2012年1月のキオスク
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20年で夕刊の部数は4分の1に

新聞業界の動向をウオッチしている井坂さんによると、夕刊廃止が相次いでいるのは、新聞社のコスト削減のためだ。世界的な資源価格の高騰を背景にした「新聞用紙代の値上げ」が経営を直撃しているという。

日本新聞協会の調査によると、新聞の総発行部数は2000年に5370万部だったのが、2023年に2859万部。約20年で半減している。

夕刊の減少はもっと急激だ。朝刊と夕刊の両方を配達する「朝夕刊セット」は2000年に1818万部だったが、2023年には445万部と4分の1以下になっている。

「日本では大正期以来、朝刊と夕刊の両方を宅配する『セット売り』が行われてきましたが、近年、地方紙はどんどん夕刊をやめています。いまでも夕刊を発行している主要な県紙・ブロック紙は、河北、東京、中日、北國、京都、神戸、西日本の7紙だけです」(井坂さん)