新聞関係者から相次ぐ「夕刊不要論」

次々と夕刊が消えていく状況をメディア関係者たちはどう見ているのか。周囲に話を聞いてみると、メディア関係者でも夕刊は読んでいない人のほうが多い。

「新聞はいまも購読しているが、夕刊は大事件などよほどのことがない限り読まない」(元新聞記者/40代)

「SNSの台頭で、速報性の担保という大義が失われている。新聞社も、夕刊に載せる記事は時事ネタから読み物にシフトしている。わざわざ朝刊と分けて宅配する意味はない」(元新聞記者/30代)

「夕刊は不要。朝刊すら全部読めない人のほうが多い中で、夕刊があるとむしろゴミが増えて、新聞不要と思わせるきっかけになると思う」(元新聞記者/30代)

このように元新聞記者から厳しい声が挙がっているが、現役の新聞社員の中にも「夕刊は不要」という意見がある。

「基本的に夕刊は不要。理由は代替物が多くあるから。速報はデジタルやテレビでよいし、文化コンテンツは雑誌でよい」(新聞社員/40代)

「高齢者にとって、夕刊は嗜好品、時間つぶしの道具としてニーズがあると思うが、もはや高齢者以外には不要だと思う」(新聞社経営幹部/40代)

私が意見を聞いたメディア関係者の間では「夕刊不要論」が目立っていた。にもかかわらず、なぜいまも、一部の新聞社で夕刊が発行されているのだろうか。

元新聞記者で、現在は公的機関で働く60代の男性は「新聞社の横並び体質に加え、『夕刊を廃止すると朝刊も取ってくれなくなるのではないか』という目に見えない不安におびえているからだろう」と推測した。