「調理の仕方がわからなくなる」という認知機能の低下も

また、国立健康・栄養研究所による高齢者を対象にした調査(「地域高齢者の食生活支援の質及び体制に関する調査研究事業」平成25年3月)は、80歳を境に「食事づくりの困りごと」の内容が、70代までと比べて変化する事実を報告する。

春日キスヨ『長寿期リスク 「元気高齢者」の未来』(光文社新書)

「料理で困っている内容」の選択肢として、「体力的に大変(無理)である」「調理の仕方がわからない」「献立を考えるのが大変(面倒)である」「レパートリーが少ない」「火を使うことに不安がある」を挙げ、「困りごとの有無」を質問するが、介護保険の利用に至っていない二次予防事業の対象者(*要支援・要介護状態となるおそれの高い状態にあると認められる65歳以上の人)の女性の回答結果から見てみよう。

「困っている内容」で、70代までの方が80歳以上より多いのは、「献立を考えるのが大変(面倒)である」「レパートリーが少ない」である。

それに対し、80歳以上で増えるのは、「体力的に大変(無理)である)」「調理の仕方がわからない」「火を使うことに不安がある」の3つである。

こうした背景には、体力と認知機能の低下が大きく進む80歳以上の長寿期高齢者人口の増大が大きく関わっている。

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