今年の参院選を乗り切れば、自ら衆議院を解散しない限り、16年の参院選まで国政選挙はない。15年9月の総裁選までの政権維持が視野に入ってくる。そこで本来の安倍路線の「外交・安保・憲法」系の目標に着手という算段なのか。

竹中平蔵 
慶應義塾大学総合政策学部教授。小泉政権時代は経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣などを歴任。

参院選勝利のために景気回復が至上命題と見て「アベノミクス」で脱デフレ、円高是正、新しい成長に挑む方針だ。安倍は「経済宰相」を目指す構えだが、力量や手腕、識見などを具備しているかどうか。主要なブレーンといわれ、安倍内閣が新設した産業競争力会議の委員となった竹中平蔵(現慶大教授。小泉内閣で経済財政担当相や総務相を歴任)が言う。

「私はアベノミクスに直接、参画したということはない。ただ、小泉内閣時代の5年5カ月、毎週日曜の夜、安倍さんも入れて数人でストラテジー・ミーティングをやった。その経験からも、経済のコンセプトを理解していると思う。金融政策の議論でも投資や消費、その組み合わせなどが頭に入っている。実務と政策論議を通して身につけたのではないか。結局、政治家の能力とは、正しいことを言っている人を選び出すことだと思う」

だが、第1次内閣の頃から首相としての資質に疑問を持つ人は少なくなかった。「温室育ち」「世間知らず」「未熟」という評がつきまとい、壁を突き破る知力、気力、体力の不足が懸念された。

若い頃から祖父の岸信介元首相を強く意識して「闘う政治家」「強い指導者」を目指してきたが、「敵をつくらないタイプで、本質は調整型」「好人物で正直だが、政略的発想に欠け、政局に弱い」「外向けには強硬だが、内部に対して情に弱く、仲間に甘い」「好調時は強いが、防戦で踏ん張りがなく、守りで脆い」といった声が周囲から聞こえてくる。