プロと称される市場関係者の目は、衆議院の解散から安倍政権発足以降の円安株高に対して意外と冷ややかだったのではないか。不思議なもので、お金でお金を生むエゲツない世界にいながらも、ディーラーというのは、相場そのものに対しては畏敬の念に似た感覚を抱いている。それは人智を超えた何かを感じるからなのだが、安倍首相が「私の発言によって円安となり株高になった」と語ったことで相場参加者は引いてしまったのではなかろうか。気分が高揚しすぎて勇み足になっている、といった指摘も見られたが、市場へのリスペクトを欠いた口上はやはり国際金融取引の最前線近くにいる人ほど受け容れ難いのだろう。
中央銀行の役目であって、一国の首相の役割ではないとおっしゃるかもしれないが、各国当局が市場との対話を重視しているように、せっかくであれば、国際金融市場の参加者をも味方につけたほうが、安倍首相の今後の政策運営もぐっと楽になるはず。使えるものは何でも有効に使えばよいわけで、不用意なコメントはいかにも勿体ないと思ってしまうのだ。
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