2013年を反転攻勢の年と位置づけ、黒字化を必達目標とするパナソニック。11年度に7721億円、12年度にも7650億円と2年連続の大幅最終赤字を計上する見込みだが、津賀一宏社長は、「3年連続の赤字は許されない。ボトムラインを黒字に置くのは、13年3月に発表予定の中期経営計画を待つまでもない」と語る。
そして、黒字化をドライブする事業をBtoBに据える考えを示した。パナソニックの業績悪化の元凶は、テレビ事業の不振にあるが、津賀社長は、「パナソニックはテレビメーカーであり、テレビが不振だから苦しみ続けるという誤解を払拭したい。コンシューマ事業はパナソニックの一面でしかない。むしろ我々の事業の中心は、BtoB事業であるという理解をえたい」という。
12年3月期の業績を見ても、コンシューマ事業の構成比は全体の約3分の1。残りの3分の2は、BtoBソリューション事業が占める。不振のテレビ事業は止血を優先し、事業の3分の2を占めるBtoBソリューションで成長戦略を描くことが、反転攻勢への海図となる。
1月8日から、米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「2013 International CES」の基調講演に登壇した津賀社長が、内容のすべてをBtoB事業の説明に割いたのも、本当のパナソニックの姿を示す意味があったからだ。
「パナソニックは、これまで『売り』によって、成長を目指してきた会社である。だが、『売り』が伸びれば、収益が上がるというのは、過去の価値観でしかない。価格が下落したコモディティの世界では、『売り』を追うと、収益が悪化する。価値観を変える転換点にきている」
と津賀社長は語る。液晶テレビ事業において、医療分野やタブレット向けといった非テレビ比率を5割以上としているのも、「収益重視」への転換を示すものだ。
「反転攻勢ですぐに結果が出なくても、新たなチャレンジをし、技術や商品を積極的に発信していくという意味もある。その結果が、適切な方向に向けばいい」と津賀社長。コンシューマ事業の止血、BtoB事業の成長戦略が鍵を握る。