WBCで見てしまった勇者たちの挑戦

夏の甲子園出場がかかった2019年夏の岩手県大会の決勝戦には投げることができなかった。プロ入りしても、1年目はファームも含めて1試合も投げず、一軍に帯同して大事に育てられた。そして2年目以降、マウンドに上がるようになっても投球数、登板間隔を考えて慎重に起用されてきた。

しかし、メジャーで成功するには冒険が必要なのも間違いないところだ。

大谷翔平は二刀流という前代未聞のポジションに挑戦して、2度のトミー・ジョン手術をしながら、前人未到の活躍をしている。彼のキャリアは冒険の連続だった。

大谷翔平(写真=All-Pro Reels/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

佐々木は昨年のWBCで大谷翔平とチームメイトになった。またダルビッシュ有からは、データを活用したメジャー流の投球を伝授された。ダルビッシュもMLBに移籍してから、トミー・ジョン手術を経験し、雌伏の時を経験している。

WBCの決勝戦でも、大谷はクローザーとして急遽マウンドに上がり、エンゼルスの僚友マイク・トラウトを三振に切って取った。佐々木朗希はこの冒険を目の当たりにしていたのだ。

トッププロスペクト(超有望株)として佐々木朗希は、周囲から大事に育成された。それがあって今の佐々木朗希があるのは間違いないところだが、彼にも「冒険をする権利」「失敗のリスクを冒す権利」がある。佐々木朗希は、その権利を今オフに行使しようとしているのではないか。

できればその思いを、訥弁でもいいから佐々木朗希自身の言葉で聞きたいと思う。気持ちを率直に吐露してほしいと思う。

そして5年間、佐々木を故障させることなくポテンシャルを発揮する舞台を与えてくれた千葉ロッテマリーンズ、吉井理人監督をはじめコーチ陣、さらには「TEAM26(千葉ロッテのファンクラブ)」の会員をはじめ、佐々木に声援を送ったファンに対しても彼自身の「肉声」で別れを告げてほしいと思う。

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