なぜ日米でポストシーズンが拡大し続けるのか
今季もプロ野球のペナントレースが終了した。これからポストシーズンが始まる。
ポストシーズンとは、リーグ戦で勝敗を争う競技で、リーグ戦の勝者、優秀な成績を残したチームが、最終の優勝を目指して雌雄を決する大会の総称だ。
30年ほど前まで、ポストシーズンはシンプルなものだった。NPBやMLBのように2大リーグ制の競技では、両リーグの勝者が短期決戦で最終勝者を目指して戦う。
NPBの日本シリーズもMLBのワールドシリーズも7回戦制でどちらかが4勝すれば優勝が決定した。期間は最大で10日間程度と短く、シンプルなものだった。
しかし、近年、ポストシーズンはどんどん複雑なものになっている。
その背景に「エクスパンション(球団拡張)」がある。MLBで言えば1968年までナショナル・リーグ、アメリカン・リーグ各10チームの2大リーグだったのが、1969年、両リーグにそれぞれ2球団が増え24球団になるとともに、両リーグが東西2地区に分かれた。これにより優勝チームが4に増え、両リーグで地区優勝シリーズが始まり、その勝者がワールドシリーズで雌雄を決するようになった。
さらにMLBは1994年にはア・ナ両リーグ各14チームとなり、各リーグは東・中・西の3地区で争われるように。各地区で1位となった3チームに加え、各地区の首位以外で最も勝率の高いチームを「ワイルドカード」としてポストシーズンに参加させるようになる。
こうして地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズを勝ち抜いたチームがワールドシリーズに進出した。
10月が新たなマーケットになった
2012年からワイルドカードは各リーグ2チームとなり、この勝者を決める「ワイルドカードゲーム」が始まる。2022年からワイルドカードは各リーグ3チームとなっている。
2024年時点で、ポストシーズンに進出したチームはワイルドカードシリーズ(3戦2勝制)、ディビジョンシリーズ(5戦3勝制)、リーグチャンピオンシップ(7戦4勝制)を勝ち抜きようやくワールドシリーズ(7戦4勝制)に進むことができる。
ポストシーズンは最大で22試合も戦う、壮大なものになった。
なぜ、こんなにポストシーズンは拡大したのか? それは「儲かるから」にほかならない。
これまで9月末でシーズンが終了し、ワールドシリーズが終われば10月中旬には「シーズンオフ」になっていたのが、ポストシーズンが拡大したことで11月初旬まで、野球ファンの注目を集めることができるようになった。
いわば10月が新しいマーケットになったのだ。
MLBのライバルであるNBAやNFLもポストシーズンを拡大させている中で、MLBとしても積極的なマーケティングを展開していく必要があるのだ。