明らかな敗者だったDeNAが最終決戦に

CSで2位、3位チームが1位チームを破って日本シリーズに進出することを「下剋上」という。

2010年のパ・リーグは3位のロッテがCSファーストステージで2位の西武を2勝0敗で下し、ファイナルステージでは1勝のアドバンテージもモノとせず1位のソフトバンクを4勝3敗(アドバンテージ含む)で下した。その勢いで日本シリーズでも中日を4勝2敗1分で下した。

3位のロッテが下剋上で日本一になったのは、ロッテファンには痛快なことではあっただろうが、パのペナントレースを制したソフトバンクのファンにとっては、やりきれない思いになったのは間違いないところだ。2010年のパ・リーグのケースではリーグ戦1位のソフトバンクと3位ロッテのゲーム差は2.5差だった。

CSの最大の問題点は、長大なペナントレースで「明らかに敗者になった」チームが、短期決戦で勝者に返り咲く可能性があることだ。

2017年のセ・リーグの場合、1位広島と3位DeNAは14.5ゲームもの大差があった。しかしDeNAはCSファーストステージで2位の阪神を2勝1敗で下し、ファイナルステージでも広島を4勝2敗(アドバンテージ含む)で下した。

2019年3月17日、広島市民球場(マツダスタジアム)2階スタンドより
2019年3月17日、広島市民球場(マツダスタジアム)2階スタンドより(写真=HKT3012/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

日本シリーズではソフトバンクに2勝4敗で敗退したが、ペナントレースで.633(88勝51敗4分)と圧勝した広島がファイナルのステージに出場できず、勝率.529(73勝65敗5分)のDeNAが最終決戦に出るのは、理不尽だという声が上がるのももっともなことではあった。

筆者が考える改革案

こうしたことから、ファンや有識者の中からも「CSは必要ない、ペナントレースの勝者がシンプルに日本シリーズを戦う昔のスタイルが良い」という声が上がっている。

しかしビジネス、マーケティングを考えても今更CSを縮小するのは現実的な話ではない。また、ペナントレースの終盤の消化試合を減らすという意義も大きい。CSはプロ野球というコンテンツのクオリティ維持のために必要なのだ。

ペナントレースの正当性を尊重するというだけで、時代に逆行することはできないだろう。

では、どうすればいいか?

ポストシーズンの質、量を維持しつつ、ペナントレースとの「矛盾」を軽減するために、筆者はNPBの再編を考えている。

現在の2リーグ各6チーム計12チームの体制を、3リーグ(地区)各4チーム計12チームに改編してはどうか。

各リーグの優勝3チームに加え、2位チームで最も勝率の良いチームをMLB同様「ワイルドカード」としてポストシーズンに出場させる。これならワイルドカード争いという新たな興味も出てくる。