「親でいようとするほど、自分を追い込むことになる」
あのとき取材で話を聞いておきながら、危機を察知せずに何もしなかった自分を恥ずかしく思うと同時に、石川さんが生きていてくれたことに深い感謝の気持ちが込み上げてきた。何が石川さんの心境を変えたのか。それは、番組に登場した母親の言葉だったという。
周囲から「母親の責任」を絶え間なく問われ続けた美保さんが、番組で母親としての義務ではなく「ファン」のような気持ちで子どもたちと接するようになったことで心が軽くなったと話した姿を見たことが、石川さんの気持ちを大きく変えたという。
「アイドルのマネージャー」が近いかもしれない
そこからヒントを得て、それなら自分はなんだろうって考えました。「ファン」というのは自分と子どもの関係とは違うかなと思って、私は「アイドルのマネージャー」という感じが近いのかもしれないと思いました。私はアイドルのお世話をしているという状況かなって。
それなら夫は事務所の社長で、学校はテレビ局かもしれないと思いました。そうやって置き換えて接するうちに、びっくりするほど気持ちが楽になりました。「ママ」って頼まれると「はい、はい?」ってマネージャーが仕事を片付けるような気持ちでやるようになりました。いずれ子どもが独立して社会という「舞台」に立ったとき困らないようにサポートしているんだって、アイドルをプロデュースするような気持ちです。