最新の利用約数は約2億2700万人

京葉線全体の利用者数を紹介したい。『2021(令和3)年度版 都市・地域交通年報』(運輸総合研究所、2024年7月。以下『都市・地域交通年報』)によると、2019(令和元)年度の利用者数は2億5643万9000人、1日平均70万0653人であった。

『都市・地域交通年報』をもとに京葉線と同程度の利用者数となる首都圏の通勤路線を探してみた。

同じJR東日本では埼京線の一部として池袋駅と赤羽駅との間の5.5キロメートルを結ぶ赤羽線が2億9964万3000人で、1日平均81万8696人。

大手私鉄では京成上野駅と成田空港駅との間の69.3キロメートルを結ぶ京成電鉄本線が2億3671万9000人で、1日平均64万6773人。

地下鉄では目黒駅と西高島平駅との間の26.5kmを結ぶ都営地下鉄三田線が2億4833万人で、1日平均67万8497人がそれぞれ近い。

実は京葉線の利用者数は2019年度が最新のもので、2023年度分はまだ公表されていない。ただし、JR東日本は「平均通過人員」を15万8945人/日と発表している。

仮に『都市・地域交通年報』に掲載されている京葉線の2019年度の利用者1人平均の乗車距離13.9キロメートルが2023年度も同じであったと考えると、利用者数は1日平均62万0915人(※)、年間2億2663万3844人と推測される。

【※計算式 15万8945人/日×54.3キロメートル(営業距離)÷13.9キロメートル(利用者1人平均の乗車距離)】

JR「外房線・内房線→京葉線に直通する人が減った」

さて、なぜ京葉線の快速、通勤快速は減らされたり、廃止となったのか。

筆者がJR東日本に直接聞いた回答、さらには筆者に対してこの件でコメントを求めた複数の新聞社が同社から得た回答をまとめると、次の3つとなる。

1 通勤快速の利用者が減っているから

2 快速と各駅停車との乗車率の不均衡を解消するため

3 京葉線の利用者数は減少傾向にあり、列車を間引く必要がある。しかし、快速の本数を維持したまま列車を間引くと、快速通過駅では列車の運転間隔が広がりすぎて不便となるから

1番から検証してみよう。

通勤快速は停車駅が八丁堀駅、新木場駅、蘇我駅と限定されすぎていることから、通勤快速の利用者が少ないのは当然だと言える。図表2のように乗車降車数が1日平均10万人を超える舞浜、新浦安、海浜幕張といった輸送需要の高い駅からの乗降を期待できないからだ。

通勤快速は蘇我駅で接続する外房線や内房線に直通し、東京都心部と外房線、内房線沿線とを直結させる役割を担っていた。

2024年3月16日のダイヤ改正まで東京駅に到着していた2本の通勤快速は1本が外房線勝浦駅発・東金線成東駅発とを大網駅で一緒にしたもの、もう1本は内房線上総湊駅発だ。

JR東日本の説明から判断すると、外房線や内房線から京葉線に直通する人が減ってきたらしい。一方で『都市・地域交通年報』には蘇我駅での乗り換え状況が記されているので検証してみよう。

JR東日本本社ビル、東京都渋谷区代々木(写真=Rs1421/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons