技術的にとんでもなく遅れたプラスチックカード

世界的にみれば、いまや生成AI、クラウド、先端的半導体GPU(映像処理できるNVIDIA製)が席巻しており、日本でもマイクロソフトやグーグルの大規模データセンターが建設されている。日本のIT企業はまったく歯が立たないくらい後れを取っている。

こうした事態を根本的に解決するつもりはなく、最初からスマートフォンとクラウドで対応する能力がなく、むしろ技術的にとんでもなく遅れた4桁の暗証番号で顔認証も不安定なプラスチックカードを全国民に強制しようとしているのである。

これまで日本のIT企業は、企業ごと、病院ごと、銀行ごとに閉じたシステムを作る自社が運営するオンプレミスの方式でやってきた。外部に閉じているので安全だと主張しながら、サーバーなどハードを売り、維持管理費用で稼ぐ方式である。施設内の情報システムは下請けに発注して作らせるので、プログラマーの地位が著しく低くソフトの開発力で格段に劣っていた。それゆえITゼネコンと揶揄されていた。

クラウドノウハウが欠けている日本のIT企業

ところが、いまやアメリカや中国の巨大IT企業はクラウドを運営し、そこからアプリを提供するプラットフォーム企業へと変貌した。そこは基本的にセキュリティが強化されたオープンなシステムで、利用者のコストは大きく削減されている。

これまで銀行が合併したり、病院ごとにオンプレミスで作ってきたシステムを外部につなげたりすると、しばしばシステムトラブルを起こすようになっている。これまで別々の会社がそれぞれシステムを構築し、つなぎ合わせたらバグが出てしまうのである。

今回のマイナ保険証では、日本のIT企業はクラウドを運営するノウハウに欠けており、時代遅れになっている欠点が露呈してしまったのである。

この間のマイナ保険証のひどい醜態を見れば、日本のIT企業の国際競争力の欠如は明らかだ。図表1を見れば明らかなように、日本の貿易収支上のデジタル赤字はいまや約5.5兆円にまで増加している。GAFAMには遠く及ばず、IT失敗企業群がJ-LISに集まり、自民党に政治献金を出して、国の数兆円もの税金に巣食って生き延びていこうとしているのである。