理由①むずかしい古典を選んでいる

むずかしいに決まっています。マルクスの『資本論』は「剰余価値論と恐慌論」、カントの『純粋理性批判』は「人間には純粋理性がない」という話です。言わんとしているテーマそのものが難解です。

このようなむずかしい古典が「教養人のための推薦図書100選」、「学生がかならず読むべき古典50」などですすめられています。朴婉緒作家の言う通り、読んだ人がいるのだろうか、という気がします。

むずかしい古典は諦めましょう。読んでも何も残らないのになぜ読むのでしょうか?

読みたければ簡単な解説書から挑戦しましょう。あなたがダメなのではありません。

むずかしければ読まなくていいのです。

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オススメの古典8選

代わりにやさしめの古典、やさしい話の古典を読みましょう。

ジョージ・オーウェルの『一九八四年』は全体主義の思想、『動物農場』は共産主義の批判、トルストイの『アンナ・カレーニナ』(望月哲男訳、光文社、2008年)は3組のカップルによる人生についての苦悩が描かれています。登場人物リョーヴィンの苦悩はトルストイの苦悩です。『トルストイ短編選』(未邦訳)、『星の王子さま』(サンテグジュペリ著、管哲次郎訳、KADOKAWA、2011年)などは、ストーリーが短いので負担になりません。

古典がむずかしいのではなく、私たちがむずかしい古典を選んでいるのです。

中学生のときに課題図書で読んだ近代の短編小説もいいでしょう。金東仁キムドンインの「いも(甘藷)」(『金東仁作品集』に収録、波田野節子訳、平凡社、2011年)は、福女ポンニョと夫が金に道徳心が屈服してゆく過程が書かれています。資本について深く考えさせられます。

むずかしい古典をただ持ち歩くくらいならば、中学生の必読書である黄順元ファンスンウォンの短編小説「夕立」〈韓国の中学校の教科書に掲載され、日韓共同テレビドラマ化もされた〉、李孝石イ ヒョソクの「そばの花咲く頃」(ONE KOREA 翻訳委員会編、『そばの花咲く頃日帝時代民族文学対訳選』収録、新幹社、1995年)から読んでみては?