読書から得た知恵を、ビジネスに活用するにはどうすればいいか。紙1枚にまとめる読書方法を提唱する「1枚」ワークス代表の浅田すぐるさんは「読書で名言に出会ったら『紙1枚』にまとめてほしい。最小限の手間で古典の名言をいつでも頭の中から取り出せるようになる」という――。

※本稿は、浅田すぐる『早く読めて、忘れない、思考力が深まる 「紙1枚!」読書法』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

経営者はみな話す言葉に名著を「引用」している

たとえ自身の読み解きに自信がなくても、その現状のまま古典を身近なものにしていける。

古典に親近感を見出し、仕事や人生を構成する要素として加えていくことができる。

そんな古典との付き合い方を、これから紹介したいと思います。

試しに、仕事やその他の場面で、古典を使いこなしている人に出会った時のことを思い出してみてください。すると、社長の年頭あいさつや、大規模なプレゼンの1シーン等、大人数でのシチュエーションばかりが浮かんでくるのではないかと思います。

そうした場面で、その人達が具体的に何をしているのか観察してみると、

クオート=引用する

ビジネスの場面に限定すれば、私達が古典を活かす動作は、「引用」がメインとなるはずです。「この名言が響いた」「この言葉を大切にすることで、難局を突破できた」「今こそ、このメッセージを皆さんに改めて問いかけたい」等々。

古典の全体的内容や時代的位置づけについて説明する機会よりも、名著の中にある一部分・一節が刺さった、響いた、大切にするべきだといって引用するシチュエーションの方が、圧倒的に多いのではないでしょうか。

古典を身近にするカギ=クオート

本稿では仕事に活かすべく、「引用」を主目的=パーパスにして、古典という「作品」や偉人という「作者」とかかわっていく。そんな古典活用法を提案してみたいのです。

最初から最後まで古典を読むスタイルにはこだわらず、とにかく心に留めておきたい一文に出会ったら、それをいつでも「アウトプット=引用できる」ようなカタチでまとめておく。

押し花でも作るようなつもりで、ひと手間かけて、すなわち「めんどくさい」思考・「深める」思考・「没頭」思考を働かせて、体験記憶となるように名言をその身に刻み込んでおくのです。一体どうすれば、そんなことが可能になるのか。

「動詞」で済ませない=「動作」レベルの答えは……「紙1枚」書くだけでOKです。本稿では、「クラシック・クオート」と名前を付けて分類したいと思います。

まず以下のフレームワークの「A?」を埋めていきます(図表1)。

本を読んでいて、名言に出会った。もう少し現実的な言い方をすると、古典の一部分や古典の解説書を読んでいた時に、「おおお!」と思わずうなるような言葉に遭遇することがあったとしましょう。

あるいは、最新のビジネス書を読んでいたら、そこに名著の言葉が引用されていて、何だかとても響いてしまった。この場合はもはや古典の読書ではありませんが、もしかすると一番現実的なシチュエーションかもしれません。

いずれにせよ、そこで一時的に感動してお終いとするのではなく、そのインパクトを言語化しておきたいのです。後で再現できるように、引き出せるように思考整理しておく。

そんな「スロー」な営みを、最小限のめんどくささで実現するための道具立てが、「紙1枚」読書法です。

今後、名言と出会ったらすかさず、緑ペンで「クラシック・クオート」のフレームを書いてみてください。そして赤ペンに切り替え、その名言を「A?」の欄に記入してみてほしいのです。