※本稿は、ナムグン・ヨンフン『みんなが読みたがる文章』(日経BP)の一部を再編集したものです。
文章が書ければ人生が豊かになる
最近「なぜ文章を書かなければならないのか」を、再度考えるきっかけになったことがありました。
小説の『ジソン、愛してる』、『かなり素敵なハッピーエンディング』(いずれも未邦訳)を執筆したイ・ジソン教授という人がいます。彼女は兄と一緒に帰宅していたときに、焼酎を5本も飲んで泥酔した運転者によって、事故に遭いました。
不幸に見舞われた当時22歳の彼女は、全身の55%に大火傷を負いました。治療のために8本の指を切断したといいます。死の淵をさまよい、目を覚ましてからは地獄での罰のような、皮膚をえぐる火傷の治療を受けました。
先の見えない治療と恨みと絶望のなかでも、彼女は残りの人生を被害者として生きたくないと決心しました。そして書いたのです。こうして誕生した『ジソン、愛してる』は40万人の読者を泣かせたベストセラーになりました。
もうひとりは、自己啓発系YouTube チャンネル「チョ・グァンイルTV」を運営する、1949年生まれの作家チョ・グァンイルです。30歳のときに『顧客応対』という本でデビューしてから休まず執筆し60余冊を出版して、現在は講師として活動しています。一説によれば、年収は1億ウォン〈およそ1100万円〉を超えるそうです。
年齢を重ね、体が思うように動かなくなっても、人生を祝福だと思いながら、若いころよりも密度の濃い人生を送る人は彼らのように多くいます。
彼らの人生を豊かにしているものは何なのでしょうか。
理由はいくつもあるでしょうが、その中のひとつは文章を書いてきたか、書いてこなかったかにあります。
文章を書くことが第2の人生を克明に変えます。イ・ジソン教授やチョ・グァンイル作家のように、今現在この瞬間と延びた寿命を祝福だと思える人生を送りたいのなら、今から準備しなければなりません。
自分とは関係ないと思うかもしれませんが、そうではありません。なぜ書くことが必要なのか、お教えします。