それは通信手段でも同じ。今回の震災でも、携帯電話には発信制限がかけられ、利用できない時間が続いたが、PHSは通信規格が異なるため制限がかからず、通話がほぼ問題なく利用できた。またインターネットを利用した通話サービス、スカイプも繋がりやすい状態だった。通信手段においても、さまざまな選択肢を用意しておくことが重要になるだろう。

災害時に自分の安否を伝えるためには、自分が思いつく限りのサービスにアクセスし、情報を残しておく必要がある。東日本大震災では、従来ある電話会社の災害伝言版サービスに加え、グーグルの「パーソンファインダー」のような新しいWebサービスが活用されたが、これらの災害時用のサービスに多重に対応していくことも重要だろう。仮にプライバシーを気にするのであれば、お互いがわかる暗号をあらかじめ決めておくのもいいだろう。また、確認したい人のWebサービス上でのIDを事前にできるだけ多く把握しておくことも重要だ。

現状、災害発生時に通信インフラが規制を受けるのは当たり前と考えておいたほうがいい。そういう状況で、どうやって家族と連絡を取り合うかを、あらかじめ話し合っておく必要がある。どこで災害に遭うかはそれぞれ違うはずだが、災害が起きた時刻というのは全員同じだ。たとえば、何時間通話ができなかったらどこに集まるとか、あるいは、どういったWebサービスで連絡を試みるかなど、連絡が取れないことを前提とした家族同士のコンセンサスを事前に得ておく必要がある。また、保育園や小学校などでも同様に、災害時に保護者に対してどのように情報発信するか、ルール作りをしておくべきだろう。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=大山貴弘 撮影=坂本道浩)
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