「スキルス性胃がん」も内視鏡検査が最適

「胃カメラ」と呼ばれる「上部内視鏡検査」は、胃がんを早期発見する最適な方法だ。

ただし、医師の経験やスキルによって、検査の結果は大きく変わる。“誰がやっても同じ結果”にはならないので、検査を受ける医療機関や医師は慎重に選びたい。

致死性が高いことで知られるスキルス性胃がんについて、「バリウム検査のほうがよく見つかる」という言説には注意が必要だ。バリウム検査でよく見つかるのは、あくまで“進行した状態のスキルス性胃がん”であり、その時点で見つかっても予後は厳しい。

治せる段階の“早期スキルス性胃がん”を発見するには、内視鏡検査が必要になる。胃粘膜の色の変化や、硬さなどから、スキルス性胃がんを発見するアルゴリズムは確立されているが、残念ながら理解していない医師もいるのだ。

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切り取られた胃がんの病巣

“沈黙の臓器”の異常を見つける「尾道方式」

がん死亡数4位の膵臓がんは、進行が極めて早く、治療が難しいがんとして知られる。

早期のステージ1で発見して外科手術を受けると、半数近くは完治できる可能性があるが、これまでは有効な検査方法がなく、国が推奨する検診方法もない。

この状況を変えようと、JA尾道総合病院(広島県)の花田敬士医師は、新たな取り組みを始めた。膵臓がんを治すには、超早期の「0期」や「1期」で発見して、外科手術につなげる必要がある。

膵臓がんの主なリスクは、親族に膵臓がん患者がいる、肥満、慢性膵炎、糖尿病、喫煙、大量飲酒など。

花田医師は、人口14万人の尾道市の医師会に協力を仰いで、膵臓がんのリスクが高い人を紹介してもらった。そして、超音波検査などを行い、異常があれば超音波内視鏡(EUS)、CT、MRIなどの精密検査を実施した。

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超音波内視鏡(EUS)検査の様子

膵臓がんを早期発見する試みは「尾道方式」と呼ばれ、10年間で555人から膵臓がんを発見。このうち0期と1期に手術を実施したところ、5年生存率が国内平均の7%の約3倍となる20%となった。

「尾道方式」は2022年から「膵臓がん早期診断プロジェクト」として、全国各地でスタートしている。上記に挙げた膵臓がんのリスクに該当する場合は、同プロジェクトを実施している病院に相談してもらいたい。