肝臓がんを調べるなら、まずウイルス検査を

がん死亡数では5位の肝臓がんも、国が推奨するがん検診はない。

肝臓がんの9割以上が、B型肝炎ウイルス、およびC型肝炎ウイルスの感染によるものだ。慢性肝炎や肝硬変に進行して、最終的に肝臓がんとなる。

自分が、この2つのウイルスに感染しているか否かを把握していない場合は、まず検査を受けてほしい。大半の自治体が、肝炎ウイルス検査を実施しているはずだ。

B型肝炎、またはC型肝炎のウイルスに感染しているとしても、一生発症しない場合もあるが、超音波検査によって経過観察を行うなどして、早期発見することも大切になる。

「過度な飲酒が原因で肝臓がんになる」と思っている人がいるが、それは誤解だ。実は、アルコールで肝硬変になるケースはあっても、肝臓がんはあまり多くない。逆に、NASH (ナッシュ)と呼ばれる、アルコールをほとんど飲めない人の、脂肪肝が原因で肝臓がんになるケースが問題になっている。

マンモで早期発見が難しい「日本人の乳がん」

乳がんは、女性のがんで最も罹患数が多く、4番目に死亡数が多い(2022年)。年間で約1万6000人が、乳がんで亡くなっているが、その検診方法については医療関係者の間で長年にわたる議論となっている。

国が推奨する乳がん検診は、40歳以上にマンモグラフィ検査を2年に1回行うものだ。これは乳房を挟むように圧迫してから、X線で撮影する。乳房を強く挟まれるために、痛みを強く感じる人もいるという。

検診の根拠となっているのは、欧米でマンモグラフィ検査によって死亡率が減少したという臨床研究である。

しかし、「マンモグラフィ検査で、日本人女性の乳がんを早期発見するのは難しい」という臨床医からの指摘があるのだ。

乳房の組織は主に脂肪と乳腺で、欧米の女性は脂肪の割合が多い。マンモグラフィ検査の画像で脂肪は“黒く”写り、がんは“白く”写るので発見が容易だ。

一方、日本人女性の4割以上は、乳腺の割合が多い「高濃度乳房」(7割以上という報告もある)。乳腺はマンモグラフィ検査で白く写るため、「高濃度乳房」の人は、がんが存在していても、乳腺に紛れてしまって発見が難しい。