10月27日開票、衆院選の結果次第では「利上げ」も

政策では、片っ端から撤回と変更を余儀なくされている。

総裁選出馬の推薦人確保の段階で、旧二階派の助けを借りた。その際、「女系天皇」「原発ゼロ」「消費増税」は絶対に言わないと約束させられ、封印している。されないと困るものばかりだが。

石破首相は防衛の専門家と自他ともに認めるところだが、「アジア版NATOの創設」「日米地位協定の見直し」「アメリカに自衛隊基地を作る」などは、「明日やる話ではない」と修正。外国との関係など相手がある話だし、安倍・菅・岸田の三代の内閣での積み上げがある。首相は旧安倍派には怨念があるようだが、菅・岸田の歴代首相は健在だ。「第3次石破内閣」にでもなれば、着手するだろう。つまり、誰も本気にしていない。

写真提供=共同通信社
埼玉県草加市での街頭演説で手を上げる自民党総裁の石破首相(右)と公明党の石井代表=2024年10月13日

経済政策は「アベノミクスを潰す」と宣言していた。アベノミクスは不況対策の低金利政策なので、いつかはやめねばならない。しかし景気回復前にやめると不況に逆戻りする。それを「即座に潰す」と宣言していたのが、手のひら返し。それどころか、日銀総裁に「利上げをしないように」と公開で圧力をかけた。

安倍晋三内閣で官房長官を務めた菅元首相はアベノミクスへの思い入れが強いし、岸田首相も受け継いだ。森山幹事長が、ややアベノミクス反対だが、そこまで思い入れがない。党と国会を牛耳らせてくれて、2人の元首相相手に政策で喧嘩する必要がない。

このように、拒否権集団の領袖同士の力学で、石破内閣は決まるのだ。

ちなみに、日銀総裁は権限上、外部の如何いかなる圧力をも無視してよい。かつて、小泉純一郎首相が辞めると決まるや、福井俊彦総裁は小泉内閣の政策を全否定する利上げを行い、景気回復を台無しにしたが、お構いなし。

今回の選挙の投票日が10月27日で、日銀が金融政策を決める政策決定会合が30、31日。総選挙の結果次第では、利上げもありうるとマーケットでもさとい人々は警戒している。

衆院選の結果予想では「過半数割れ」も十分ありえる

さて、既に満身創痍そういの感がある石破首相、選挙に勝てるか。

勝利の定義が衆議院選挙での政権維持なら、なんとかなるだろう。ただし議席減は確実だが。

石破首相は「自公で過半数」を勝敗ラインとしたが、過半数割れもありうる。

その時、拒否権集団を率いる5人が守ってくれるか、引きずりおろしに来るかが、真の勝敗だ。

ただ、あまり評判が悪くむごい負け方だと引きずりおろすだろうが、拒否権集団にとってこんな弱い首相は都合がよすぎるので、不満がない。今のところ。