石破政権が誕生し、株式市場や円相場が大きく揺れている。これから日本経済はどうなるのか。伊藤忠総研チーフエコノミストの武田淳さんは「総裁選の中で石破氏は、利上げ容認、金融所得課税強化などマーケットにとってネガティブな政策を打ち出したが、首相就任後は景気最優先で軌道修正を進めている。いちばんのリスクは、行き過ぎた軌道修正を図る『ブレる石破首相』になっている」という――。
「石破ショック」と言うより「高市バブルの崩壊」
9月27日の自民党総裁選は、1回目の投票で2位に甘んじた石破茂氏が1位の高市早苗氏を決選投票で逆転、勝利したが、これを受けて金融市場が大きく動いた。
ドル円相場は、総裁選直前に1ドル=146円台半ばまで円安が進んでいたが、総裁選後は一気に143円まで円高に振れ、その夜の欧米市場では142円近くまで円が買われる場面もあった。為替相場は、石破新総裁の誕生に対し、値幅が4円以上にも達する円急伸で応えた。
一方、株式相場は、14時過ぎに1回目投票の結果が発表され、高市氏のトップが伝わると上昇が加速、決選投票の結果発表は市場が閉まる15時を過ぎたため、日経平均株価は高市新総裁誕生への期待を高めたまま3万9830円の高値で引けた。
ところが、期待に反し石破新総裁誕生となったため、日経平均株価は週明け30日に寄り付きから売り込まれ、前日比1910円もの大幅安となる3万7920円で引けた。ドル円相場も、30日の東京時間では141円台半ばまで円高が進む場面もあった。
こうした大幅な円高・株安の進行は、巷間「石破ショック」と呼ばれ、確かに表面的には適当な表現のようにも思うが、総裁選前の相場の動きも含めて見ると「高市バブル崩壊」と呼ぶ方が適当であろう。