どうにもパッとしない立憲民主党代表選

裏金問題からの派閥解消で、突然9人も立候補して騒ぎになっている自由民主党の総裁選。その裏では、ほぼ同日程で野党第一党から政権奪取を目指す立憲民主党の代表選がしめやかにとり行われています。

事実上の日本のリーダーとなる総理大臣決定戦に位置付けられる自民党総裁選に比べれば、どうしても注目度も低くなりがちな立憲民主党。それでもさすがに代表選だけあって、政策論の面では割ときちんとした論戦が繰り広げられているのは良かったです。

立憲民主党代表選の立会演説会で手を取り合う(左から)野田元首相、吉田晴美衆院議員、泉代表、枝野前代表=2024年9月14日午後、大阪・梅田
写真提供=共同通信社
立憲民主党代表選の立会演説会で手を取り合う(左から)野田元首相、吉田晴美衆院議員、泉代表、枝野前代表=2024年9月14日午後、大阪・梅田

今回は、ほとんど挙党一致で担ぐような雰囲気にまでなった元総理・野田佳彦さんが立憲サポーターや各議員から盤石な支持を集める中、当初は一騎討ちのような感じで元官房長官を務めた枝野幸男さんが立候補。どっかで見た二人が争ってる形になると、女性あり40代若手あり政策通ベテランありでバラエティに富む自民党総裁選に比べればどうにもパッとしないよな、というのはあったんじゃないかと思います。

泉代表に対する「辛口の評価」が大勢を占めているが…

特に、この3年間かなり頑張って立憲民主党の代表としてやってきた泉健太さんに対する党内の声望が低く、また立憲支持層も「泉健太さんは特に立憲民主党を発展させることができなかった」とかなり辛口の評価が大勢を占めています。

ただ、あくまで筆者の受け止め方からすれば、泉健太さんは可哀想な役回りだったと思うのです。ややもすれば独立独歩の議員を多数抱え、小池百合子さんの希望の党問題以降も何かあるとバラバラになってしまいかねない立憲民主党という「もろい器」だったと言えます。そんなデリケートな組織を、曲がりなりにも任期満了まで破綻させることも分裂することもなく最後まで引っ張って来られたのは、紛れもなく敵を作らず丁寧な対応で腐心してきた泉健太さん以下執行部の手腕によるものであることは間違いありません。

泉健太代表。立憲支持層からは、かなり辛口の評価が大勢を占めている
泉健太代表。立憲支持層からは、かなり辛口の評価が大勢を占めているが…(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

総括として、立憲に関わる人たちは皆「良くも悪くもなかった」と評するのは、確かに党や組織が崩壊するような乱暴な運営はなかった。一方で、幾度も立憲民主党の飛躍のチャンスがあったにもかかわらず自公政権を追い詰めることができず、党勢を増すこともできなかった失望感が、立憲内部にあったのは間違いありません。

代表選立候補には国会議員の推薦人20人が必要という、いまの立憲の勢力からすれば非常にハードルの高い状況でも何とか出馬にこぎ着けた泉健太さんと並んで、野田陣営から推薦人を実質的に借りる形で出てきたのは東京8区当選1回の吉田晴美さんです。一般的には「誰この人」という感じで、各種調査でも吉田さんへの支持率は6%から8%程度に沈んでいますが、華やかな自民党総裁選に比べれば女性の立候補者がいないのにジェンダー問題を主たる争点にしたがる「立憲しぐさ」もあって、なんとしても女性を立てなければならなかったのでしょう。