下宿してまで通う価値のある大学とは
私学については関東だと「成成明学」「日東駒専」、関西では「産近甲龍」と呼ばれる大学群があります。これらについては本稿が参考にしている日経転職版のランキング外であることが多く、正確な計算はできませんでした。
そこで、各年代の最低金額で生涯年収を推計してみたところ、多くても2億7000万円を切りました。女性の平均年収よりは大きいですが、男性の生涯年収とは1000万円程度しか変わらず、大きな年収上昇効果は得られません。
金銭的なメリット追求のみで選ぶなら、地元の大学や国公立大学に進学したほうが、大きなコストパフォーマンスを得られるでしょう。言い換えれば、「下宿してまで通うべき私立群は、上述した大学群でギリギリ」ともいえます。
大学を選ぶ基準は「お金」だけではない
もちろん、金銭的なメリット以外にも大学進学の動機はありますから、これらの大学群に進学する利点が一切ないというわけではありません。これはあくまで、大学進学に伴う生涯年収の上昇幅のみに論点を絞った考え方です。その一方で、大学全入時代と言われる現代では、将来的なキャリア形成のために進学先を決めるケースも多々あります。その決定要因の一つに生涯年収のアップ率を考えるのも自然なことだといえます。
金銭的利益を追求するならば、安定的な選択肢はやはり国公立。私学の場合は関東ならMARCHクラス以上、関西なら関関同立以上に進学すべきといえそうです。
親にとっては私学よりも国立のほうが進学ハードルが低いのは間違いなく、「家から通える国公立に進学してほしい」と願う親たちはこれからも絶えることはないでしょう。逆を言えば、先ほど挙げた大学群以外を目指すのであれば、金銭的メリット以外で進学動機を探すべきと言えるのかもしれません。大学の4年間のコストではなく、長期的なメリットを見据えて進学先を探すように、親子で話し合ってはいかがでしょうか。