関西は東京圏より生活費が安く抑えられる

○関関同立レベル

関西の名門私立群である関関同立ではどうでしょうか。日経転職版の調査による全世代平均年収と世代別平均年収は次の通り。

【図表3】関関同立出身者の年代別平均年収額

全体的に2023年度データのランク外である場合が多く、2022年度のデータで補わざるを得ませんでしたが、同志社大学だけは2023年度版のデータのみで推定生涯年収が約3億円と推計できました。前項で検討したMARCHのどこよりも推計生涯年収は高く、年収だけで考えるのであれば、有望な進学先です。

次にコストについて、生活費から算出します。これらの大学では学生寮の相場が3万円から5万円程度でした。東京よりも2万~3万円程度安く住める計算です。ここでは毎月10万円程度で下宿できると考えます。生活費は4年間で約500万円としましょう。

立命館大学以外の3大学の学費については、およそ110万円から170万円程度で共通しており、一番高額なのは関西大学システム理工学部の178万円。立命館大学だけは学費が高く、一番高額なのは6年制の薬学部薬学科で239万6800円、4年制で一番高額なのがグローバル教養学部の230万円。この場合、学費の合計額は720万~920万円となります(6年制薬学部を除く)。

ですから、関関同立に下宿しながら通った場合のコストは、1200万~1400万程度となるでしょう。

先ほどの年収データと合わせると、同志社大学に通う場合は十分コストを回収できます。関西大学、関西学院大学、立命館大学についても、データ不足であることを加味しても、ギリギリプラスになると考えられます。ただし、金銭的なメリットを追求して関関同立に進学するならば、同志社大学を選ぶべきでしょう。

「国公立安定神話」は健在

○それ以外の大学群

いわゆる「旧帝大」と言われる大学群や、筑波大学、横浜国立大学、神戸大学などの国公立大学についてもランクインしている大学がありました。ですが、国公立に関しては、基本的に行けばプラスになるケースが多いと考えられます。

国公立大学の学費は、多くても64万2960円。4年間で257万1840円です。私学2年~2年半分の学費で4年間通えるのは非常に強みで、コストが300万~400万円程度減ります。さらに、国公立大学のネームバリューは地元で強い場合が多く、就職も安泰です。

参考までに、いくつか有名国公立の年収データを出しました。

【図表4】有名国公立大学出身者の年代別平均年収額

どこの大学に通うとしても、コストは多くて1000万円ほど。一橋大・神戸大・横国大・筑波大のどこであろうとMARCH上位学部~早慶クラス並みに稼げる割に進学コストは不相応に低く、やはり「国公立安定神話」は崩壊しないと思わされます。