夏休みボケで勉強しないわが子に、親はどう接したらいいのか。東大生ライターの布施川天馬さんは「やる気に頼らなくていいように、勉強のルールや成績目標を設定したほうがいい。それで結果が出ているのであれば、たとえ家では遊びほうけていても干渉すべきではない」という――。
リビングで勉強をしない子供と見張る親
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受験勉強は「スケジュール管理能力」を問うゲーム

「子どもが勉強しない」と悩む親御さんは多いのではないでしょうか。特に、夏休み明け直後は「休みボケ」で勉強に手が付かない生徒、学生が増え、手を焼くご両親の声をよく聞きます。

私自身、中高生の時には勉強が大嫌いで、毎日1秒たりとも勉強しませんでした。その結果、高校3年生になってから、大いに後悔することになりました。

受験勉強とは、「入試本番」という期日までに、合格に必要な知識や考え方をインストールできるか否かを問うゲーム。「地頭の良さ」ではなく、「納期を守れるか」が問われ、スケジュール管理能力が必要です。地頭は、後述する「スケジュール遂行能力」の優秀さを指すにすぎません。

スケジュール管理能力は2つあります。ひとつは、「計画設定」。期日までに終わらせるべき仕事を洗い出し、適切な中間目標を設定しつつ、一日ごとにやるべきタスクまで分解する能力をいいます。そして、もう一つは「計画遂行」。定められたタスクを期日までにキッチリやり切る能力のことです。

「勉強しなさい」に意味はない

親御さん視点では、多くの子どもが未熟に見えるでしょう。とはいえ、代わりにスケジュールを立てたり、リマインドしたりすることはよくないと私は考えます。試行錯誤の中で2つの計画力を身に付けるせっかくの成長機会を奪いかねないからです。

「勉強しなさい」という追い込みに意味がないのは有名な話です。理想論を語るようですが、やはり子ども自身に勉強の必要性を感じてもらって、自ら動いてもらえるよう誘導できるとよいでしょう。それも、「○○大学に合格したい」のような、内発的なモチベーションに支えられていることが理想です。

自らの心的、感情的な意欲に動機づけられている状態を「内発的動機付け」と言います。これに対して、金銭やプレゼントなど、外部からの報酬によって動機づけられている状態を「外発的動機付け」といいます。勉強や仕事、トレーニングなどは、最終的には「内発的動機付け」に基づくとよいといわれます。

外発的動機付けは即効性があるものの、慣れると報酬が当たり前になり、報酬なしに努力ができなくなってしまうからです。そこで今回は、子どもの内発的動機付けを促す親からのアプローチについてお伝えします。