「自分で決めた」と本人が感じられるか

一方、チャレンジ校を諦めて、現実的な受験に臨ませたい場合には、親のひと声が重要になる。「このままでは合格できないから、志望校を変えないと」と身も蓋もない言葉を投げる親は案外少なくないが、これは絶対に言ってはいけない。子供の気持ちに寄り添いつつ、「この学校も楽しそうだね」「あなたに合ってそうだね」と前向きな言葉をかけ続け、他の選択肢を提示してみよう。

小学生の子供だって、うすうすは「自分は第一志望校には行けそうにない」ことは分かっているのだ。それを分かった上でチャレンジしたいのなら、その気持ちを受け止め応援してあげればいいし、現状に納得した上で志望校を変えるのであれば、最大限のバックアップをしてあげればいい。大事なのは、子供本人に決めさせることだ。もちろん、実際は親の誘導や演出もある。だけど、「自分で決めた」と本人が感じられるかどうかが、その後の親子関係に大きく影響を及ぼすことを知っておいてほしい。

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第一志望を変えるなら、偏差値帯だけで選んではいけない

ただ、第一志望校を変える際には、気をつけなければならないことがある。それは、偏差値帯だけで選択をしないことだ。例えば、これまで開成中を第一志望にして勉強してきた子が武蔵中に変えたり、豊島岡女子を第一志望校にしていた子が鷗友女子に変えたりするのは、絶対にやってはいけない。なぜなら、両者は入試問題の傾向が極端に違い過ぎるからだ。偏差値帯だけで見れば「合格ライン」でも、入試となると「不合格」になってしまう可能性が高い。

第一志望校を変える場合は、それまで第一志望校として対策してきた学校の入試問題と傾向が似ている学校か、塾のテキストの内容から大きくかけ離れないような一般的な問題を出す学校を選択しよう。もちろん、子供本人が「ここなら行きたい」と納得していることが大前提だ。