中学受験の第一志望校を変える最後のチャンスはいつなのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康さんは「一般的に秋は成績が変動しやすい。合否判定模試の1回ごとの結果に右往左往するのではなく、9月~12月の結果を総合的に見て判断するほうがいい。第一志望校を変更するデッドラインは12月の半ばだ」という――。
合格通知書と小さい2つのだるま
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10月時点で見切りをつけるのは早合点

入試本番が近づいてきた。この時期、親たちを最も悩ませるのが、志望校の選択だ。できれば偏差値の高い難関校に入ってほしい。でも、現実の学力も見えてきてしまった。このまま第一志望で進んでいいのか、諦めた方がいいのか――、そんな相談が増えてくるのは、毎年決まってこの時期だ。

親たちをザワつかせるもの。それは、志望校判定模試の結果と過去問の出来だろう。だが、10月のこの時点で見切りをつけるのは、早合点。なぜなら、ここから驚異的に伸びてくる子供たちを、これまで何度も見てきたからだ。

夏休み開けの9月から12月の半ばまで、月1ペースで合否判定模試が実施される。その結果に親たちは右往左往しがちだが、1回のテストの結果が悪かったからといって、すぐに諦める必要はない。まずは4回受けてみて、その結果を待つべきだ。よくやってしまいがちなのが、12月の最後の模試で偏差値がガクッと下がり、それが今の学力だと決めつけ、志望校を変えてしまうこと。

その日のコンディションで集中力が大きく変わる

発達の途中にいる小学生の子供は、その日のコンディションやメンタルで集中力が大きく変わってくる。その日に出た問題がたまたま苦手な分野だったり、朝出かける前に親とケンカして気分が晴れなかったり、隣でテストを受けている子の鉛筆の音がやたらと大きくて気になってしまったりと、ほんのちょっとの違いで、実力を発揮できないことが多々ある。だから、「模試の得点力」=「今の学力」と思わないことだ。

もし、1つだけ見るのなら、4回受けたうちの一番良かった模試を子供に見せて、「あなたはこれだけの力を持っているのだから、大丈夫よ」と安心させてあげてほしい。たまたま調子が良くて高得点が取れた、ということも考えられなくはないが、これだけの点が取れたことは紛れもない事実。自信にはなるだろう。

だが、現実的には、9月~12月に受けた4回分の模試の結果を総合的に見て判断する方がいい。その際、4回すべてが合格可能性20%だったら、正直合格はほど遠い。なぜなら、「合格可能性20%」にはそれ以下の子もすべてカウントされているからだ。