たんぱく質、糖質、脂質を栄養に変えるビタミンB群

一方、ビタミンDは摂りすぎると高カルシウム血症を起こし、血管の壁や腎臓、心筋、肺などにカルシウムが沈着してしまい、腎機能障害や嘔吐、食欲不振、神経の興奮などの症状が現れる場合もあります。

ただし、「日本人の食事摂取基準(2020)」が示すビタミンDの摂取目安量が1日あたり8.5μg(18歳以上の男女)であるのに対して、統計的にはすべての世代でビタミンD摂取量は不足していることがわかっています(2019年「国民健康・栄養調査」年齢層別のビタミンD摂取量より)。つまり、一般的な食生活をしている分には、過剰摂取を心配することはないでしょう。

たまご1個あたりのビタミンDは約2μg(マイクログラム)ですから、2個食べたら1日の目安量の半分が摂れますね。

もう1つ、たまごに豊富な栄養素で、僕らの健康に重要なものがビタミンB群。

ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類の水溶性ビタミンの総称です。

その主なはたらきは、僕らが食事で摂ったエネルギー産生栄養素(たんぱく質、糖質、脂質)の代謝をスムーズにする「補酵素」という、いわば縁の下の力持ち的な役割です。ビタミンB群が不足していると、肉もごはんも期待どおりの栄養にならないので、大事ですね。

たまごはスーパーパワー食品

B群のビタミンはいずれも水溶性ですから、摂りすぎの心配はないものの、一度にたくさん摂っても尿で排出されてしまいます。毎日しっかり摂っていきたいものです。

全8種のうち、たまごにはビタミンB2、ビタミンB12、パントテン酸、葉酸、ビオチンの5種が豊富です。

これまで紹介した以外にも、たまごを食べることで摂れる主な栄養素として、ビタミンK、リン、鉄などがあげられます。それぞれのはたらきは図表1の「たまごにはこんなビタミン・ミネラルも!」で簡単に説明しています。たまごにはビタミン、ミネラルも豊富と言えるのがわかります。

出所=『長生きたまご

積極的に摂りたい栄養素のうち、たまごで摂れないのは「ビタミンCと食物繊維だけ」と逆に覚えておくと、献立作りで便利かもしれません。たまごはスーパーパワー食品と呼んでいいでしょう。

そもそもたまごは「まるごと生命」ですね。小さな生命が殻のなかで成長し、自ら捕食し、生命を維持できるようになるまで育つために、十分な栄養が備わっているもの。栄養のかたまりです。しかも手軽に買え、食べられるのですから、毎日の食事で、ぜひおいしく召し上がれ!