根拠が分からないまま「No.1」と謳う企業も

不当表示の禁止には、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の類型もあり、合理的根拠のない「No.1表示」がこれらに該当するとして、2023年から24年にかけ、消費者庁が続々と違反事業者に措置命令を出す事態となりました。

問題となったのは、「お客様満足度No.1」「口コミ人気No.1」「女性に人気のダイエットドリンクNo.1」「3部門No.1」「7冠達成」といった広告です。中には、海外Wi-Fiレンタルサービスで有名な「イモトのWiFi」を提供するエクスコムグローバル(東京)も含まれていました。

「No.1表示」が不当表示とならないためには、「客観的な調査に基づいていること」「調査結果を正確かつ適正に引用していること」のいずれも満たさなくてはなりません。しかし、措置命令が出されたケースでは、調査対象者が当該商品やサービスの利用者であるかどうかを聞いていないとか、比較対象から強力な競合社を除外するといったことが行われていたようです。

No.1表示は調査会社が広告主に働きかけて行われる場合が多いのですが、違反を問えるのはあくまでも違反表示を行った広告主です。しかし、消費者庁が24年9月26日に公表した実態調査報告書では、調査会社に勧められるまま、根拠を十分確認せずに「No.1」などと広告に使っている事業者が多いということが分かりました。

キラキラした宣伝文句より自分の目を信じる

あらゆるものに値上げの波が押し寄せ、生活防衛の視点から、価格に対する消費者の目は一段と厳しくなっています。買い物に際して重要なことは、モノやサービスの質とそれらの価格を比較し、適切な選択を行うことです。

その前提として、判断するための表示が適正に行われていなくてはなりません。もし、実体を反映しない表示が行われるとしたら、消費者は誤った選択により、無駄な出費をすることになってしまいます。

ひとたびトラブルに遭ってしまえば、その対処に多大なるエネルギーを消耗することになります。消費者である私たちは、きらびやかな宣伝文句を鵜呑みにせず、「果たしてこれはどういう意味だろう」「どのような根拠があるのだろう」と、立ち止まって考える冷静さを保っていたいものです。

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