SNSなどをきっかけとした投資詐欺が横行
SNSで「株で勝ちたい人必見」「FX自動売買で不労所得」といった投資に関する広告を目にしている人も多いと思います。経済アナリストの森永康平さんが、父親の森永卓郎さんや自身になりすました投資詐欺が増えていると警告したことも記憶に新しいところです(参考:プレジデントオンライン「森永卓郎&康平親子をかたった投資詐欺で約9億円被害…康平氏自ら解説『手口を知っていても引っかかる』ワケ」2024年4月22日)。
国民生活センターでも、こうした問題に対して危機感を持っています。全国の消費生活センターに寄せられたFX取引に関する2023年度の相談件数は4309件と、前年度の2536件より大幅に増加しました。ここで目立っているのも、SNS広告などインターネットをきっかけにした詐欺被害なのです。
被害者は広告を見たあと、LINEのグループチャットなどに誘われて、そして金銭を奪われていきます。“絶対儲かる話などない”と誰もがわかっているのに、なぜ引っかかってしまうのか。国民生活センターに取材して、その背景を聞きました。
※消費生活センターは、商品の購入やサービスの利用に関する契約トラブルの相談を受け付ける都道府県・市区町村の機関。国民生活センターは、これらの機関に寄せられた苦情相談情報を収集し、情報提供を行っています。
LINEで「儲かった話」を見聞きするうちにその気に
SNSの広告をクリックすると、そこからLINEなどのグループチャットに誘導されます。名目は、投資セミナーグループだったり、株の情報を交換するグループだったりさまざまです。
そこには複数の人がいて、投資について話をしています。例えば、こんな事例がありました。グループに“先生”と呼ばれる人物がいて、ふだんは株など投資の指南をしています。あるとき「今月はFXが稼ぎやすい」と発言したことで、グループみんなでやることになったそうです。
この流れで「先生が言ったとおりにやったら儲かった!」と発言するメンバーがいたらどうでしょう。他人の成功体験を見聞きするうちに、自分もやってみようという気になるわけです。
こうして興味を持ったころ、FXの口座開設を持ちかけられます。