気がつくと大金をつぎ込み、出金できない状況に

グループ内の“FX取引所担当者”がコンタクトを取ってきて、FX取引アプリを使うよう促されるケースが多いようです。

もちろん最初は半信半疑です。ですので、少額で取引を始めます。指示通りに口座を開設し操作をするといきなり利益が出てしまいます。50万円が倍になったと話す相談者もいました。こんなことが起こったら興奮するでしょう。そして出金をしてみると、自分の口座にちゃんと振り込まれます。これなら信用できると確信して、大金をつぎ込んでしまうのです。

ここからは大変です。たとえ画面上に残高1000万円と表示されていても現金にできません。出金しようとすると「税金として160万円を振り込まないと出金できない」「口座残高50%の証拠金が必要」など、いろんな言いがかりをつけられます。残高があるから大丈夫と思って払ってしまったりするのですが、結局また何か理由をつけられて出金できません。

そして最後には、相手と連絡が取れなくなってしまいます。SNSでしかつながっていませんので、姿を消すのは簡単です。グループチャットから退出されただけでどうしようもなくなる、なんてことも起こるのです。

スマートフォンを使用している人の手元
写真=iStock.com/loveshiba
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「個人名義の口座」に振り込んではいけない

この手口ですが、あらゆることが“ウソ”な可能性があります。まずは、グループチャットで「儲かった」と発言していた人たちです。被害者は自分と同じように投資に興味を持った仲間だと感じているかもしれません。ですが、サクラである可能性があります。また、使用していたFX取引アプリもウソかもしれません。本当の取引はしておらず、画面上だけで利益が出たように見せかけているだけの可能性が高いのです。

アプリがフェイクだと見抜ければいいのですが、投資初心者には至難の業でしょう。FX取引は金融商品取引業の登録が必要です。登録業者かどうかは金融庁のホームページで調べることができます。ここに名前がなければもちろん怪しいと断言できます。ですが、名前があったとしても、本物をかたったニセモノということがあるのです。

では、どうやって身を守ったらよいのでしょうか。覚えてほしいワードは「個人名義の口座には振り込むな」です。