「第三者」を振る舞い、消費者を欺く行為

SNS投稿、レビュー投稿といったインターネット上の表示だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌などの表示についても対象となります。ただし、個人の感想など広告でないものや、テレビCMなど、明らかに広告であると分かるものは対象外です。

企業による広告・宣伝であれば、ある程度の誇張・誇大が含まれているものと考え、消費者側もそのことを含めて慎重に商品やサービスを選ぶと思われます。

一方、広告・宣伝であることが分からない場合、企業とは無関係の第三者の感想であると誤って認識し、その内容をそのまま受け取ってしまう可能性があり、消費者が自らの判断で商品やサービスを選ぶことができなくなるかもしれません。

ステマ規制は、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るためのものです。

グーグルマップの星を増やした医療法人に処分

なお、規制の対象となるのは、商品やサービスを供給する事業者(広告主)で、企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象にはなりません。

違反をすると、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に基づく措置命令を受ける可能性があり、従わなかった場合、2年以下の懲役または300万円以下の罰金のいずれか、または併科となります。

景品表示法とは、消費者の利益を保護するため、景品類及び表示に関する規制を行う法律です。同法では「不当表示の禁止」と「景品類の制限及び禁止」の規制がありますが、ステマ規制は不当表示の禁止類型のうち、「その他、誤認されるおそれがあるとして指定された表示」に該当します。

ステマ規制が導入されて約8カ月後の2024年6月、インフルエンザ予防接種の割引と引き換えに、グーグルマップの口コミ欄に高評価を投稿するよう患者に働きかけた医療法人に対し、初の行政処分が出ました。

飲食店や医療機関を探す際によく参考にされるグーグルマップの口コミにも、ステマが潜んでいる可能性があるのです。

ちなみに、厚生労働省は「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業」を行っており、不適切な表示をする医療機関のウェブサイトをみつけたときは、消費者が情報提供できる「医療機関ネットパトロール」の制度が導入されています。