観光情報を扱うウェブメディアの英カルチャー・トリップは、バリ島で捕獲された犬の約70%が木にロープで縛り付けられ、首を絞められ、生きたまま屠殺されると報じている。

「シンタ」と名付けられたある犬は、もともと檻の中で四肢を縛られて横たわり、食肉にされる寸前だった。バリ島では、犬肉は苦しめれば苦しめるほど美味になると信じられており、シンタも前足や顔に深い傷を負っていたという。シンタは愛護団体に救助され、里親センターに保護された。

毒殺された犬を食べる危険性

犬食には、衛生上の問題もある。タイムズ・オブ・インディア紙によると、バリの公共秩序機関の責任者であるデワ・ニョマン・ライ・ダルマディ氏は、「犬肉は食品ではなく、病気の原因にもなり得る。犬肉は健康に良いという迷信を信じてはならない。それは誤解を招く」と述べている。

また、一部の犬は毒殺されていることから、食べれば人間の体内に毒が取り込まれる危険性がある。ニューサウスウェールズ毒情報センターのアンドリュー・ドーソン博士は、豪ABCに、「シアン化物は調理によって破壊されないため、犬肉に含まれるシアン化物が人間に害を及ぼす可能性があります」と警告している。

アニマルズ・オーストラリアのホワイト氏は、食品業界の動向を報じるフード・ナビゲーター・アジアに対し、「犬肉の取引には毒殺された肉が出回っているだけでなく、生の犬肉のサンプルを検査したところ、大腸菌群と大腸菌が大量に混入していることが判明しました」と語る。深刻な食中毒を引き起こす可能性がある、危険な状態だ。

さらに、ペットの里親探しを推進するボビー・フェルナンド氏は、アルジャジーラに対し、「インドネシアはアジアで5番目に狂犬病の患者数が多い国です」と語る。

写真=iStock.com/Simon Harry Collins
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バリ島がこれから観光客に愛されるために

バリ島では、犬肉が食事の一環として浸透している。バリ動物福祉協会の調査によると、バリ島では毎年7万匹の犬が犬肉取引のために殺されているという。

同協会のボランティアであるジェン・ヤマナカ氏は、カルチャー・トリップに、「一度解体されてしまうと、犬のサテと鶏のサテの違いを見分けられるかなんて、誰にも分かりっこないのです」と指摘する。

現地に根付いた食文化を一概に否定することは難しいが、少なくとも観光客を騙して食べさせる手口は改善されるべきだ。倫理面の問題だけでなく、毒物や大腸菌などを含み体調に異変を来しかねない状態の肉は販売されるべきでない。

まばゆいビーチが広がる南部・クタや自然豊かな山中のウブドの街など、バリ島は数え切れない魅力に満ちている。国際的に観光客を惹き寄せ続ける島から、知られざる悪しき慣行が根絶されることを願うばかりだ。

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