違法な犬肉が押収された

日本などアジアの国々やオーストラリアから、多くの観光客を惹き寄せるインドネシアのバリ島。レストランや屋台で一度は目にするのが、名物料理のサテ(串焼き)だ。だが、鶏肉などと称して売られている一部のサテは、実は犬肉だった。

フランスのAFP通信が報じたところによると、バリ島の当局は7月、島西部のジェンブラナ地区において、違法な犬肉の串焼き500本と生の犬肉56kgを押収した。

バリ島では2023年に犬肉の取引が禁止されており、違反者は最大3カ月の懲役または約4100ドルの罰金刑に処される可能性がある。バリ公共秩序機関の責任者であるデワ・ニョマン・ライ・ダルマディ氏はAFP通信に、7月の検査で、規制に違反して犬肉の取り扱いを続けている3人の犬肉販売者を発見したと明かした。初犯者は警告処分のみだが、他の2人の再犯の販売者は軽犯罪として起訴された。

インドネシア全般では犬肉と猫肉の販売が許可されているが、この慣習を改める動きがあり、バリ島では地域独自の取り締まりを行っている。しかし、取引禁止令にかかわらず販売する業者は後を絶たない。

犬
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騙された観光客たちが犬肉を食べている

バリ島における犬肉の販売は、以前から問題視されていた。地理的に近いオーストラリアから多くの観光客が訪れるが、豪TV局のABCは2017年、夜のニュース番組「7.30」で、騙されて実際に犬肉を食べたオーストラリア人観光客らの顛末を取り上げている。

動物保護団体のアニマルズ・オーストラリアの調査によると、バリの観光地で提供されるサテ(串焼き)の中には、犬肉でできたものがある。観光客はこれを知らずに食べてしまうことが多いという。同団体のキャンペーンディレクター、リン・ホワイト氏は、ABCの取材に対し、「犬肉取引は動物虐待法と食品安全法に違反しています」と説明している。

バリのセミニャックビーチ近くの屋台は、犬肉のサテを販売している屋台の一つだ。観光客には「チキンサテ」として提供される。「7.30」は、アニマルズ・オーストラリアの調査員が屋台の販売者に「何を売っているのですか?」と尋ね、販売者が「犬のサテです」と答える様子を取り上げている。

販売者が商品の肉を収めている箱には、シェパードの絵柄と、「RW MOBIL」の文字が書かれている。「RW」は犬肉を意味する。インドネシア中部、スラウェシ島北部の言葉である「Rintek Wuuk」(柔らかい毛皮)に由来する。だが、観光客は「RW」の意味を知らない。