大切なのは愛情を持つこと、そのためにまず関心を持って欲しい

【藤原】大﨑さんのお話を伺って浮かんでくるのは“愛”という言葉なんです。

【大﨑】愛ですか……。少し話は変わりますけど、吉本興業の闇みたいな本が出たことがあるんです。読みたくないんですけれど、自分が出てくるから一応目を通しますよね。面白くないんです。自分を批判されているから、というのではなく、言葉が頭に入ってこない。

なんでかなと考えたとき、そこに愛情がないからだと気がついた。ジャーナリズムにおいて批判的精神が必要だというのは分かっています。ただ、対象への愛情というか思いやりがなければ、単なる悪口になる。本の値打ちを下げることになるじゃないかと思うんです。

撮影=奥田真也

【藤原】批判するにしても最低限の敬意があって欲しいですね。

【大﨑】それから、だいぶ経ってから書いた人と会食で一緒になったんです。叩くにしても愛情がベースにないといい本にならないじゃないですかって言ったら、場がシーンとなってしまった(笑い)。愛情というのはキーワードかもしれません。

医師、看護師さんは一人ひとりの患者さんに愛情、藤原さんがおっしゃったナイチンゲールの関心を持って欲しい。とはいえ、毎日忙しいし、やること一杯あるから、分かっていても難しいのかなぁ(苦笑い)。

千船病院広報誌『虹くじら 04号』

【藤原】確かに現場の看護師は日々の業務に追われています。千船病院の看護部長になって、看護師さんと話していると、ふと立ち止まったときに考えるのは患者さんのことだと言うんです。

患者さんやご家族に対して、あのときもっとできたんじゃないか、別のいい関わり方があったんではないかと振り返ると。ああ、みんな素敵な看護師さんだなと思うんです。千船病院の看護師さんは、そういう思いを持っている人が多い気がします。

【大﨑】お袋、嫁が患ったとき、看護師さんには本当に良くしてもらった。今日、藤原さんの話を伺って、やはり看護師さんは天使さんやなと思いました。藤原さん、これからも優しい看護師さんを育ててください!

【藤原】ありがとうございます!

藤原 恵子(ふじわら・けいこ)
大阪府東大阪市出身。国立大阪病院附属看護学校を卒業後、1983年4月国立大阪病院(現・国立病院機構大阪医療センター)救命救急センターにて看護師人生をスタートする。その後39年間にわたり、看護師として日本各地の病院で医療の現場に立ち続ける。看護部長などの役職を歴任し、2022年3月に国立病院機構での勤務を終え定年退職。2022年4月千船病院の看護部長として採用され、現在3年目を迎えている。
新たな命の誕生から最期の瞬間まで、共に支えることを使命とし、かけがえのない命と向き合い、真摯に誠実に対応することを大切にしている。
大﨑 洋(おおさき・ひろし)

1978年、吉本興業株式会社に入社。多くのタレントのマネージャーを担当し、音楽・出版事業、スポーツマネジメント事業、デジタルコンテンツ事業、映画事業などの新規事業を立ち上げる。2009年に代表取締役社長、2019年には代表取締役会長に就任。2023年6月代表取締役会長を退任。2023年3月全広連日本宣伝賞・正力賞受賞。2023年5月大阪・関西万博催事検討会議共同座長に就任。また、公益社団法人「2025年日本国際博覧会協会」シニアアドバイザーも務める。著書に『居場所。』(サンマーク出版)などがある。
現在、一般社団法人mother ha.haを設立し代表理事に就任。

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