無垢フローリングの採用はそこに愛があるかが重要

注文住宅で実現したい仕様の上位に挙がる、無垢フローリング。木材ならではのナチュラルな雰囲気と、素足で歩いたときの心地よさは、他の素材では得難いものです。

ただし、天然の木材を切り出して使うという特性から、デメリットも発生します。

反りやすい、伸縮して隙間ができやすい、傷や汚れがつきやすい、へこみやすい、変色する、床暖房に向かない、オイルを塗るなどの手入れが必要……。そのうえで、導入コストも割高な無垢フローリングは、実は本当に「手のかかる子」なのです。

それを理解したうえで、それでも無垢フローリングを愛し、手がかかるのを楽しむことができるなら、コストをかけて採用する価値があると思います。このあたりの感覚は、レザーの財布やデニムのジーンズを「育てる」のと似ているかもしれません。

愛情をかければ、無垢フローリングは家族の歴史をその身に刻みつつ、深く味わいのある色に経年変化していくでしょう。

4人家族なら26坪あれば十分に暮らせる

家の大きさの目安として昔からいわれているのが「家族ひとりあたり8〜10坪」。

4人家族なら、最低でも32坪以上は必要な計算です。それよりもっと広い家に憧れる人もいるかもしれません。

ただ、私が提案したいのは、そうした常識とは真逆です。序章でも述べた通り、「小さな家のほうが、より豊かに暮らせる」と考えています。その点を改めて詳しく解説したいと思います。

個人的な感覚としては、4人家族なら26坪あれば十分に暮らせます。実際に、私が担当した施主の方の中には、家族4人、22坪の家で暮らす人がいますが、とても豊かな生活を送り、満足されています。

「小さな家」にする大きなメリットは、サイズを抑えた分、浮いたコストを「質を高める」方向に使えることにあります。

たとえば、断熱性や耐震性を高めたり、塗り壁や無垢フローリングを採用したり、長く使える質のいい家具を買ったりすることで、「暮らしの質」が上がり、幸福度も高くなります。

その他にも、家族みんなが目の届く範囲で暮らせて、掃除もラクにでき、庭を大きくとれ、空間が小さいことで断熱性能も高まるなど、さまざまなメリットがあります。

では、実際にどのようなポイントを押さえて小さな家を建てれば、豊かに暮らしていけるでしょう。

げげ『後悔しない家づくりのすべて』(サンクチュアリ出版)

間取りに関しては、階段やホールを家の中心に配置し、できるだけろうかを減らすと、スペースをフル活用できます。窓の配置などを工夫して庭や空とのつながりを持たせたり、吹き抜けやロフトを採用して縦方向の視線の抜けをつくったりすると、床面積以上の開放感が得られます。

不要なものは大胆に「引き算」するのも大切です。玄関、子ども部屋、ダイニング、壁や扉……。自分たちのほしい暮らしの中で、不要な要素は思い切って削ります。

空間の使い方としては、寝室、子ども部屋、書斎などと部屋に名をつけるのをやめます。たとえば、「最初は夫婦の寝室として使い、子どもが大きくなったら2つの部屋に区切って子ども部屋をつくる」という感じで、将来の家族の変化に応じて可変的に使える家にしましょう。

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