QUOカードには要注意!「株主優待」Q&A

Q1優待が廃止されそうな銘柄の見分け方を教えてください。

まず、利益が出ていない企業は優待を廃止してもおかしくありませんから、簡単にでも業績をチェックしておくことが大切です。加えて、自社のサービスとの関連性が薄い優待も廃止されやすいです。QUOカードなどの金券や、外部サービスで利用できるポイントを贈呈する優待が該当します。これらは株主にとっては使い勝手のいい優待ですが、企業にとっては配当を渡すのと変わらないため、配当に一本化される可能性があります。

また、ひときわ目立つ高利回りの優待、いわゆる「大盤振る舞い」にも注意が必要です。お得すぎる優待を目当てに個人投資家がどんどん集まってきて、優待コストを許容できなくなり、すぐに廃止するというケースもあるのです。このような銘柄を避けるには、最低3年間は同じ優待内容を続けている銘柄を選ぶとよいでしょう。ただし、将来的な改悪や廃止は仕方ないと割り切って投資するという手もあります。

Q2優待の新設が期待できる銘柄の探し方を教えてください。

新規上場したばかりで、優待を導入していない企業は狙い目です。特に一般消費者向けの事業を展開する企業であれば、個人投資家の株主を増やす目的で優待を新設する可能性があります。また、優待を実施することが、そのまま自社の商品・サービスの消費者アピールにつながるという側面もあります。優待の新設は、自社製品やサービスを実際に使ってもらうことで、自社のファンを増やすという狙いもあるのです。自社製品やサービスであれば原価で提供できるため、配当よりもコストが安いというメリットもあります。優待を新設すれば一時的に株価の上昇も期待できますから、株主側の要望を取り入れて導入するケースもあります。

ただし、Q1で触れたように、新設してすぐに廃止される可能性にも留意しましょう。また、上場したばかりの銘柄は値動きが激しいことも多く、優待や配当利回り以上の株価変動リスクがあることにも注意が必要です。

Q3「疑義注記」がついている銘柄は避けるべきですか。

疑義注記とは「継続企業の前提に疑義の注記がある会社」に対する注意書きのこと。業績不振や資金繰りの悪化などが原因で、将来にわたって事業を継続できない可能性があることを示します。つまり、倒産のリスクがあるということです。似たような注記に、「重要事象」というものもあり、こちらは改善の余地が残されている場合に記載されます。つまり、重要事象よりも疑義注記のほうが、よりリスクが高いのです。疑義注記つきの企業は、株価の値動きが荒くなる傾向にあります。業績の回復や債務解消が見込まれる場合には株価が大きく上がることもありますが、当然、下がる可能性も大きい銘柄です。ましてや優待が廃止される可能性も高い銘柄ですから、おすすめできません。これらの注記は、証券会社のHPや会社四季報、投資情報サイトなどで確認できます。企業の倒産リスクを簡単に確認できる指標として、投資前には確認しておきたい情報です。

Q4優待をもらいつつ、値下がり損を避ける方法は?

優待・配当利回りがよくても、それ以上の価格下落に見舞われることもありうるのが株式投資。リスクをゼロにはできませんが、損しやすいタイミングを避けることはできます。一般的に、人気の優待銘柄では、権利確定月の上旬に関心が高まり、株価が上昇する傾向にあります。一方、権利落ち日には優待目的の購入分が売られ、株価が下がります。つまり、権利確定日ぎりぎりに買うと、短期的には損をする可能性が高いのです。権利確定月の数カ月前に買うのがおすすめです。価格変動リスクへの対策はほかにもあります。たとえば100株だけ権利を取りたい場合に、倍の200株を買っておいて、100株は権利確定前に売ってしまい、残りの100株を保有すれば、権利落ち前後の値動きをならしながら優待を得ることもできます。最も簡単なのは長期で保有すること。権利確定月に株価が変動する銘柄は、権利落ちで下落しても、次の権利確定月には値を戻す傾向にあります。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年9月13日号)の一部を再編集したものです。

(構成=水嶋洋大)
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