歌舞伎町に迷い込んだようなおかしな気分に
Facebookは日本では社会人同士の交流の場として発達してきた。私も、メディア関係の会社に勤める人たちを中心につながっている。こうした人々が自らの近況を投稿するだけでなく、見かけた重要な情報や記事を投稿してくれる。私にとっては交流の場であるだけでなく、仕事に役立つ情報を得る場でもある。
言ってみれば、汐留や赤坂のビジネス街にある公園のようなものだ。ところが最近出没する怪しい広告やグループは、歌舞伎町のようないかがわしい街の匂いがする。歌舞伎町の存在を否定するわけではなく、汐留や赤坂と混在しているから困るのだ。
私は自分が書いた記事を「こんな記事を書きました」とFacebookで投稿しているが、汐留赤坂で呼びかけているはずが歌舞伎町に迷い込んだようなおかしな気分になる。それでも私にとって自分の活動をアピールする場として重要だ。
しかし最近、「Facebookにアクセスする回数が減ってきた」「もうFacebookは退場しようか」とのコメントをポツポツ見かけるようになり、悲しくなってきた。
若者どころか、中高年ユーザーも離れていく
気持ちがわかるだけに止める気にもなれない。Facebookは蜜月を終え、社会インフラとして終わりが近づいているのかもしれない。
もともと30代より下の世代は使わない人が多い。2017年と2022年で比較すると、10~20代の利用率は大きく下がっているのだ(図表2)。おかしな環境をほっておくと中高年までいなくなるのに、メタ社として本気で対策しないのだろうか。
最近はおかしな方向で本気を出しているようで、ユーザーの何の問題もない投稿を勝手に削除する不可解も起こっている。問題投稿の削除に頭の悪いAIでも使っているのだろうが、これではますます中高年が離れかねない。
いまSNSは、ちっとも「ソーシャル」な場でなくなっている。まるで映画『マッドマックス』の舞台のように、荒廃したディストピアになりかけているように思うのだ。
X(旧Twitter)は言うまでもないだろう。イーロン・マスク氏が買収してXの名になってから、交流する楽しい空間ではなく殺伐と荒れ果てた場になってしまった。