愛情表現は思うほど難しくない

友達への愛情表現を避けてしまう理由のひとつに、愛情を表現したら妙な感じになってしまうのではないかという不安があります。

私はこれを、「手助けのスキル」という履修科目を教えたときに気づきました。大学生がセラピストになるために基本的なツールを学ぶ授業です。

学生たちは概してこの授業を気に入ってくれてはいましたが、全員が確実に、不快な思いをする週がありました。人間関係の中で自分がどう考えるか、どう感じるかを直接的に表現する「直接性」というスキルを練習するときです。

「みなさんには今日、お互いに相手の好きな点を伝え合ってもらいます」――その日のアクティビティの説明として、クラスのみんなにこう伝えます。すると必ず、沈黙が広がり、学生たちは目を丸くしたり、椅子の上でお尻をもぞもぞ動かしたり、消しゴムを激しくいじったりするものでした。

そしてこんな恐れを口にします。

「相手を怖がらせてしまったら?」「必死だとか粘着しているとか思われたら?」

私は、学生たちがこうした思いを吐き出すのに耳を傾け、そのうち勇気あるひとりがアクティビティのために前に出て来るまで、クラスが静かになるのを待ちました。

「あなたの言葉はどれも賢明。いつもは静かなのに、いったん口を開くと鋭い言葉がほとばしる」「何気なくすごくかっこいいし、自信に満ちているから尊敬している」「毎日教室に入るたびに挨拶してくれて、とっても温かい気分になる」

学生たちはみんな、称賛の言葉を次から次へと口にしました。長年この授業をしましたが、最初の恐怖にもよらず、嫌な思いでこの週を終わらせる人は誰ひとりとしていませんでした。

写真=iStock.com/FG Trade
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称賛を伝えると人間関係は永続的に変化する

アクティビティが終わると、クラス内の人間関係は永続的な変化を遂げました。この授業は変革をもたらすものだったのです。

学生たちは授業に積極的に参加するようになり、よく笑うようになり、廊下で会うと互いに挨拶するようになりました。まるで、クラス全体がそれまでずっとはめていたコルセットを、ついに外したかのようでした。

最後の授業ではコース全体を振り返りますが、学生たちはそこで、ほかでもない「直接性ウィーク」がみんなの距離感を縮めたと言っていました。ある学生はこう言いました。

「人間関係はこうやって強くなるんですね。相手が重要な存在だって、意図的に伝えるときに」