愛情表現を豊かにすることは「健康にいい」

別の研究で、大学生にアンケートを2セット渡し、1セットは自分が知っている人で他人への愛情表現が豊かな人、もう1セットはあまり豊かでない人にそれぞれ渡すようお願いしました。

すると、愛情表現が豊かな人の人物像は、あまり表現しない人とはまったく異なることがわかりました。気分の落ち込みが少なく、幸せで、自信があるばかりでなく、人からの愛情も多く受け取り、人づきあいが盛んで、あまり孤立していなかったのです(※2)

愛情を表現することは、単に友情に恩恵をもたらすだけではありません。私たち自身にも恩恵をもたらします。

人間は社会的な生き物であるため、人とつながるように駆り立てるべく、人間の体はあるルールに沿っています。つまり、「人とつながろうとして行うことは何であれ、健康にいい」というルールです。

歴史的な建物の前でハイタッチをする学生たち
写真=iStock.com/RealPeopleGroup
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愛情表現が豊かな人は、気分の落ち込みが少なく、自己肯定感が高く、コレステロール、コルチゾール、血圧の数値が低いことが、複数の研究で示されています(※3)。愛情表現は人のためになると思うところですが、これらの研究から、実際には自分の中にポジティブなエネルギーを起こすことがわかります。

人は誰かを批判するときにネガティブなエネルギーに蝕まれますが、愛するときは、温かい感情で内側から豊かになるのです。

自分が人をどう見るかによって、自分の中で何を経験するかが決まります。

※2 Kory Floyd, “Human Affection Exchange: V. Attributes of the Highly Affectionate,”Communication Quarterly 50, no. 2 (2002): 135–52.

※3 Kory Floyd, Colin Hesse, and Mark T. Haynes, “Human Affection Exchange: XV. Metabolic and Cardiovascular Correlates of Trait Expressed Affection,” Communication Quarterly 55, no. 1 (2007): 79–94.
Kory Floyd et al.,“Human Affection Exchange: VIII. Further Evidence of the Benefits of Expressed Affection,”Communication Quarterly 53, no. 3 (2005): 285–303k
Kory Floyd, Alan C. Mikkelson, Colin Hesse, and Perry M. Pauley,“Affectionate Writing Reduces Total Cholesterol: Two Randomized, Controlled Trials,”Human Communication Research 33, no. 2 (2007): 119–42.
Kory Floyd et al., “Human Affection Exchange: XIII. Affectionate Communication Accelerates Neuroendocrine Stress Recovery,” Health Communication 22,no. 2 (2007): 123–32.

SNSで友達を称賛しよう

私はこの研究について知っていたので、悲観的なニュースばかりを追いかけてスマートフォンをスクロールし続ける「ドゥーム・スクロール」ではなく、その逆の「ラブ・スクロール」を、自分の友達に対してするようになりました。SNSでニュースフィードをスクロールしていき、友達にすばらしいとか、誇りに思うとか、嬉しいなどと伝えるのです。

そうすると、自分の中に湧いてくる温かみに気づきます。

どうやら、SNSでの愛情表現は、友達をつくり、維持する戦略として効果があるようです。

ある研究では、フェイスブックで友達のウォールに投稿する行為(悲しい話題で支えたり、嬉しい話題でおめでとうと伝えたり)はすべて、より満足度の高い親密な友情につながることが示されました(※4)

※4 Bree McEwan, “Sharing, Caring, and Surveilling: An Actor–Partner Interdependence Model Examination of Facebook Relational Maintenance Strategies,” Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking 16, no. 12 (2013): 863–69.