デジタルツールは“サポート”程度に

――デジタル機器の利用が子どもの学習に与える影響についてどうお考えですか。適切な活用方法があれば教えてください。

テクノロジーは適切に活用すれば、子どもの学習を大きくサポートする可能性があります。例えば、オンラインの学習ツールやアプリケーションは、個々の子どものペースや理解度に合わせた学習を可能にします。

特に、アクティブリコールと分散学習を組み合わせた学習法を支援するツールは効果的です。例えば、Ankiというフラッシュカードアプリは、覚えにくい情報を効率的に学習するのに役立ちます。

ただし、テクノロジーの使用には注意も必要です。スマートフォンやタブレットの過度な使用は、集中力や睡眠に悪影響を与える可能性があります。したがって、使用時間や目的を明確にし、適切にコントロールすることが重要です。

また、デジタルツールを使う際も、単に情報を受動的に受け取るだけでなく、学んだことを自分の言葉で説明したり、問題を解いたりするなど、能動的な学習を心がけることが大切です。

AIの時代、人はあまり勉強をする必要がなくなるという意見もありますが、私はそうは思いません。AIをうまく使いこなせるのは、新しい知識を貪欲に学び、自分自身の脳に知識を内在化させている人間だと思います。

撮影=プレジデントオンライン編集部
スマホやタブレットは使い方次第。
安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA)

――最後に、子どもの知的成長を支援する上で、親が陥りがちな誤りや、特に心がけるべき点について教えてください。

親が「頭のいい子」(または「頭の悪い子」)というレッテルを自分の子どもや他の子どもに貼ったり、他の子どもと試験の点数や「頭の良さ」を比べたりすることは良くないと思います。そのようなレッテル貼り、他人と比較してしまう価値観を親が持っていると、それを子どもも持ってしまいます。そういう生き方は、例え学業成績が良くても、将来的には他人と常に比較してしまう大人になり、不幸になる可能性があります。

親としてできる最も大事なことは、「勉強ができなくても、運動ができなくても、愛しているよ」と、子どもに示すことだと思います。誰かに無条件に愛してもらった経験は、子どもの人生にとって何よりの資産になるのではないでしょうか。

(取材・構成=昼間たかし)
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