「いい成績のための勉強」はNG

――子どものモチベーションを保つことの重要性について教えてください。

モチベーションは学習において非常に重要な要素です。特に、内発的動機づけを育むことが大切です。内発的動機づけとは、外からの報酬や罰ではなく、活動自体に興味や楽しみを見出すことです。

これを育むために、自律性、有能感、関係性という3つの心理的欲求を満たすことがポイントです。具体的には、子どもに選択の機会を与えたり(自律性)、適度な難易度の課題を与えて成功体験を積ませたり(有能感)、学びを共有する仲間や支援的な大人との関係を築いたり(関係性)することが効果的です。

また、学習の目的を明確にすることも大切です。単に「いい成績を取るため」ではなく、「この知識が将来どのように役立つか」を子どもと一緒に考えることで、学習への意欲を高めることができます。このためには、親が学問の重要性をしっかりと認識して、子どもにも説明できるようにする必要があります。

安川さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
学習の目的は「いい成績を取るため」ではない。

――子どもの失敗や挫折に、親はどう向き合えばいいのでしょうか。

失敗や挫折は学習過程において避けられないものですが、これらを適切に扱うことで、むしろ子どもの成長につながる貴重な機会となります。

まず重要なのは、失敗を恐れない環境を作ることです。失敗を「学びの機会」として前向きに捉え、そこから何を学べるかを子どもと一緒に考えることが大切です。

また、「自分にはできない」という固定的な考え方ではなく、「まだできるようになっていない」という成長志向の考え方を促すことも重要です。これは、先ほど述べたGrowth Mindset(成長マインドセット)の考え方につながります。

例えば、子どもがテストで低い点数を取った場合、「頭が良くない」と責めるのではなく、「どの部分が難しかったのか」「次はどのように勉強したらいいと思うか」といった建設的な対話を行い、親もそこを伸ばせるように支援してあげてください。