「白紙勉強法」と「分散学習」がオススメ

――効果的な勉強法にはどのようなものがありますか。

効果的な勉強法としては、まずアクティブリコールがあります。これは、勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すことです。私が医学生の頃から実践してきた「白紙勉強法」は、このアクティブリコールを活用した方法です。

具体的には、覚えたい情報(英単語帳、教科書、参考書など)をまず読み、その後、その情報を見ないで、覚えたい内容を白い紙にできるだけ書き出します。

記憶の手掛かりがない状態で頑張って記憶から内容を引き出した方が、ヒントが与えられた状態で思い出すよりも記憶の定着が良いことを示唆する研究もあるため、何も見ないでまず書き出してみる、ということを行います。効果の高い勉強のためには、アクティブリコールのように、脳により負荷がかかる「望ましい困難」が必要だとされています。

覚えにくい内容は声に出しながら書き、さらに誰かに教えているフリをしながらアウトプットすると効果的です。声に出した方が黙読するよりも記憶の定着が高まる現象は「プロダクション効果」と呼ばれています。誰かに教えることで、理解が深まることは「プロテジェ効果」と呼ばれており、私はアクティブリコールとこうした方法を組み合わせています。

書き出せなかったり、思い出せなかったりした情報は、また元の情報を見直して確認(フィードバック)します。アクティブリコールも、こうしたフィードバックがある方が効果が高いことが分かっています。

もう一つ重要な勉強法として、分散学習があります。これは、学習を時間的に分散させて行う方法です。同じ時間勉強するにしても、時間を分散させたほうが長期的に記憶に残ることが多くの研究で示されています。

例えば、2時間続けてある範囲の英単語を勉強するよりも、今日は1時間、別の日に1時間と分散したほうが、時間が経ってテストした時に、覚えている単語の数は多くなります。この効果は、大人から子どもまで、数学、外国語、歴史、生物学などを含めた幅広い分野の勉強において確認されています。

撮影=プレジデントオンライン編集部
あえて自分の脳に負荷をかけると記憶が定着しやすくなるという。

黒板を書き写すだけではダメ

――効果的なノートの取り方として「コーネル式ノート術」を推奨されていますね。

効果的なノートの取り方として、私がお勧めするのはコーネル式ノート術です。これは、ノートのページを3つのセクションに分けて使う方法です。

具体的には、ページをA・B・Cの3つのセクションに分けます。Aのセクションには覚えたい内容を書き、Bのセクションにはその内容に関した質問やキーワードを書きます。そして、Cのセクションには自分の言葉で短くまとめを書きます。