ハードルの高すぎない「ルール」を作る
親にできるアプローチ① ルールを作る
スタートのためには、「やる気」に頼らないことが一番です。具体的には、ルールを設定して、機械的にそれを守り続けるようにするといいでしょう。例えば、「朝起きたらスマホを見る前に単語帳を開く」や「予定がない日は朝の10時までに制服を着て最寄り駅に行く(自転車に乗る)」とルールを決め、守るようにする。もちろん、このルールは親子で話し合って決めてください。
ミソは「○時間勉強する」などハードルを上げすぎないこと。確かに、「朝起きたら2時間机に向かう」とルールを決めれば、短期的には勉強に集中するようになるでしょう。しかし、それは個人の感情を無視したやり方。勉強は、短期的に頑張っても意味がありません。継続のためには、「単語帳を開く(無理して覚えなくてもいい)」とか「制服を着て外出する(具合が悪かったら帰ってきてもいい)」のように、ある程度緩さを残しておくといいでしょう。
また、同じように、「夕焼けチャイムが鳴ったら机に向かう」など、勉強する時間や場所をルールで区切るのもいいでしょう。例えば、筆者の場合は「学校では勉強だけ。代わりに、家では遊びだけ」と決めていました。そのため、受験期でも帰宅後の数時間は、ゲームをしたりマンガを読んだり、YouTubeを観たりして過ごしていました。
親にもそのように伝えていたので、家では遊びほうける私に対して、なにも文句は言いませんでした。見えるところで勉強していないと不安になる気持ちはわかりますが、「結果を出している限り放任だとありがたい」が、子ども側の意見です。
このように「ルールを守っているならば、親も干渉しない」ことが大前提です。ルールが守られている間は、何をやっても自由としなければ、信頼関係が崩れてしまい、子どもは親の言うことを聞かなくなるでしょう。
「もっと上を目指せるんじゃないの」は禁句
親にできるアプローチ② 共通の目標を作る
前述のアプローチと合わせて「共通の目標を作る」ことがをお勧めします。この際「テストでいい点を取る」のように、抽象的な表現を使用しないことが望ましいです。「定期テストで10位以内に入る」「全科目平均80点以上獲得する」のように、客観的に見て公平に到達度が測れる目標にしましょう。
勉強とは、目標を達成するための手段です。目標未設定のまま行う勉強は、趣味の運動やゲーム、テレビ鑑賞などとなんら本質が変わりません。勉強したことがない人ほど「勉強すればするだけいい」と考えがちですが、それは大きな間違いです。
私が中高生の時は、親と「特待生待遇を毎年取り続ける」ことを目標として設定していました。私の母校では、通知表の評定平均が一定以上だと、特待を1年ずつ更新することができたのです。「維持さえできれば、あとは何をしていてもよい」と言われたので、毎日部活漬けの毎日を送っていました。1秒もペンを握らない日々が続きましたが、維持はできていたので、親は何も言いませんでした。
仮にここで、「学習時間ゼロで特待生になれる実力があるなら、もっと上を目指せるだろう」と勉強を強制されていたら、私は東大進学どころか大学受験すらしなかったでしょう。一度結んだ契約を後から一方的に反故にしてくるような信用のならない相手とは、二度と取引したくないと考えるのは当然です。