「翌日配達」という画期的なサービスを広めたヤマト
2社目はアップルである。ティッカーコードは「AAPL」である。
アップルの製品と出会ったのはマチュピチュをツアーで旅行したときだった。同行者に「写真スポットがたくさんあるから、フィルムを大量に消費してしまう」とこぼしたところ、相手はたしかデジタルカメラを使っていたと記憶しているのだが、「iPodへ画像を定期的に移している、この方法が便利だ」と返ってきた。
当時、アップルのパソコン、マッキントッシュ(Mac)が性能的にWindows関係のパソコンよりも上だと聞いていたこともあり、帰国してすぐにiPodを購入した。その後、アップルの製品がiPad、iPhoneと発展していったのは周知のとおりである。
株価も飛躍的に上昇している。iPodを製品化したころ、アップルの業績が悪く、株価が低迷していた事情もある。
3社目は日本企業、クロネコで有名なヤマトホールディングスである。取引所コードは「9064」である。
ずいぶん以前から宅急便のお世話になっていた。既得権益の権化のような輸送業界にあって、ヤマトは孤軍に近く奮闘しつつも、「翌日配達」という画期的なサービスを広めた。当時の(今でも売上高ではそうだが)業界最大手が「親方日の丸」と揶揄されていたのとは大違いだった。
今では宅急便を含めた宅配便が常識になっているものの、ヤマトの配達の正確性は業界の手本ともいうべきものだった。この背景には、顧客の利便性を高めるという経営理念がしっかりとあったのだろう。
株価の推移を示しておく(2005年以降)。次に登場する日本企業、キーエンスと一緒に描いておいた(図表2)。これによればヤマトの株価の上昇率は小さい。実は1990年代まで遡ると上昇率が高くなる。2000年代に入り、業界の競争が激しくなったためである。
キーエンス「30代で家が建ち、40代で墓が建つ」は本当か
悪評を別角度から見る
ここまで誰が見ても素晴らしいと思えるような企業の事例を挙げてきたが、他方で悪評や経営に対する非難が大きい企業もある。
その非難が正しいこともあるが、少し調べれば的を射ていないこともある。非難が大きいことは、ひょっとして画期的な経営に対するやっかみや警戒かもしれない。
日本での代表例がキーエンスである。取引所コードは「6861」である。
今では時価総額で日本企業のトップクラスに上昇してきたが、10年ほど前はそうではなかった。そんな当時、大学のゼミ学生が、就職活動の一環としてキーエンスを訪問したと報告した。
名前と悪評だけは知っていたので、どんな会社なのか質問したところ、たしかその時に初めて知ったと記憶しているのだが、30代で家が建ち、40代で墓が建つと学生が語った。面接してくれたキーエンスの社員が教えてくれたそうだ。
要するに年収が非常に高い。その代わり、その年収に見合った働きをしないといけない。働くといっても、体を動かすだけではなく、頭も働かすのである。それだけ過酷な職場だとわかる(結局のところ、学生はキーエンスに就職しなかったが)。
現在のキーエンスは給与の高い優良企業だと、評価が変わりつつある。株価の上昇率もアメリカの著名企業と比べて遜色がない。