具体的な「数字」「固有名詞」で伝える

「ちょっと待っててください」
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「10分ほどお待ちください」

「ちょっと待ってて」と言われて、「え? いつまで待てばいいの?」とツッコミたくなることはありませんか。

そう、「相手に寄り添う話し方」とは、「それでちゃんと伝わる?」と“ツッコミを入れる自分”をもつことなのです。

「ちょっと待ってて」と言われて、「1、2分」をイメージする人もいれば、10分をイメージする人もいます。だれが聞いても自分と同じイメージをもってもらうには、具体的な数字、固有名詞で伝えるといいでしょう。

「会議資料、多めにコピーして」
→「会議資料、人数プラス3部、コピーして」

「例の件、どうなった?」
→「A社の企画営業の件、どうなった?」

「最寄り駅からそこそこの距離です」
→「品川駅から徒歩15分ほどです」

写真=iStock.com/pcess609
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具体的にわかりやすく話してくれる人は、「話が通じやすい」という印象があり、話がかみ合わない、誤解が生じる、「言った」「言わない」などのトラブルも少ないはずです。

自分の伝えたいことを相手に伝わるように話すために、相手目線で「それで伝わる?」とツッコミを入れることを意識してみてください。

ときには社交辞令なしで、ストレートに話す

「そのうち、ご飯でも行きましょう」
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「仕事が落ち着いた来月前半あたり、ご飯でも行きませんか?」

「今度、ご飯行きましょう」「前向きに検討します」など社交辞令っぽい言葉に、「ほんとは行く気ないでしょ」「どうせ検討しないでしょ」と思ったことはありませんか。

社交辞令とは、その場の空気を壊さず、ものごとを円滑に進めるために使う曖昧な言葉。あいさつやほめ言葉、ビジネスシーンなどではよく使われ、一見、相手を気遣っているようですが、じつはお互いのためになっていないのです。

なぜなら、社交辞令と思われた時点で、言葉が薄っぺらになりますから。言ったことをそのまま放置していては、期待した人を失望させることになります。

社交辞令では心は通い合わず、会話も関係も発展しないのです。

社交辞令を言うくらいなら、なにも言わないほうがマシ。

その気があるなら、ありきたりな言葉でなく具体的に自分の言葉で話せば、相手の心にも届くはずです。

単に「飲みに行きましょう」ではなく、「いつ」「どこに」「だれと」「どんな機会に」など具体的な情報をひとつでも入れると、自分の言葉になり、実現もしやすくなります。

完全でなくても、できるだけ心と言葉、行動を一致させようとする人は誠実であり、信頼されます。世の中は社交辞令で取りつくろった“口達者”より、口下手でも誠実な“正直者”が最後にトクをする仕組みになっているのです。