登校するかしないかの二択ではない

まずは、お子さんが「学校に行きたがらない」という事実を受け入れ、本人がどう感じているのか、心の声に耳を傾けてください。自分の気持ちを最初は上手く言葉にできないかもしれませんが、忍耐強く待ちます。このとき、安易に否定すると「二度と言わない」と決意させてしまうかもしれませんから気をつけてください。

次に、今後どうしたいのかについても聞いてみましょう。心身ともに疲れ果てていて、いったん自宅で休みたいのかもしれません。もしくは教室へ行くのは無理でも、保健室や図書室、フリースクール、塾でなら勉強ができそうだとか、オンライン授業なら参加できそう、ということかもしれません。

学校にも、どうしたらいいか、またどういう対応をしてもらえそうか相談してみてください。担任の先生、養護の先生、スクールカウンセラー、校長先生や副校長先生が対応してくれると思います。敷地内に入ることができたら出席にしてくれたり、保健室登校やオンライン授業ができたりするかもしれません。市町村によっては不登校の子が通える支援教室があったり、民間のフリースクールがあったりする場合もあるでしょう。相談先は、複数あったほうがいいのです。

信頼できて気軽に話せる大人が必要

以前、頭痛を訴えてクリニックを受診された不登校の患者さんは大変おとなしく、お母さんを介してしか会話できませんでした。ところが、学校健診で会った際には、ずいぶん印象が違いました。養護の先生に対してはおしゃべりで、保健室では頭痛を感じることなく勉強できたのです。その患者さんは、養護の先生のもとで勉強しながらいろいろと話をした結果、徐々にクラスで勉強ができるようになりました。

このように話せる大人を見つけるのは、子どもにとって難しいことです。相性もあるでしょう。でも、どのお子さんにも、ほどよい距離が取れて信頼できる家族以外の大人が見つかるといいのかもしれません。

最後に、夏休み中に遅寝遅起きの習慣がついてしまうと、休み明けに学校へ行くのがよりつらくなります。登校しない日も、生活リズムはあまり変えず、起床時間・食事時間と回数・就寝時間は同じにしましょう。そして、新学期が憂うつになるような要素があれば、早めの解決が肝心です。勉強や運動の苦手があれば夏休み中に追いつくようサポートする、人間関係に問題があれば相談先を見つけたり他の友達と会えるようにしたり、宿題は早めに終わらせるなど、対応をとってみてください。

写真=iStock.com/damircudic
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