盗撮そのものを取り締まる法律がようやくできた

性的な撮影による未成年者の被害が増えています。加害者も未成年者であるケースも増えています。夏休みに入ると、未成年者の性被害は増えます。性的な自画撮りの被害等も増えることが想定されます。そこで、性的な撮影にまつわる問題について考えてみたいと思います。

教室で隠れてスマホを使用する学生
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

盗撮を刑法犯で処罰する法律が施行されて1年たちました。正式名称は「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」です。とても長い名前なので、ここでは「撮影罪」ということにします。

盗撮は、被害者に大きなダメージを与える重大な犯罪です。これまで真正面から盗撮を取り締まる法律はなく、被害者は泣き寝入りを強いられ、加害者は安心して犯行を重ねることができました。しかし、従前と比べて格段に刑が重い撮影罪ができたことが抑止力となることが期待されます。

「すべての学校に盗撮事件がある」といってもいい

盗撮にはさまざまなパターンがあるのですが、私が特に危機感を抱いているのは、「加害者も被害者も未成年者」というケースです。学校の部活の更衣室に隠しカメラやスマホを設置して盗撮したり、修学旅行先で入浴中の女子生徒を盗撮したりする行為等です。学校の教室の中でも盗撮は行われています。

「○○県の中学校の修学旅行先の風呂場で、女子生徒10人以上が盗撮被害。盗撮画像は複数の男子生徒に拡散」
「○○県の高校の宿泊授業で、男子生徒が盗撮。被害者の女子生徒は数十人」

などという報道が目につきます。しかし、これは氷山の一角です。

「すべての学校に盗撮事件がある」といっても過言ではないと思います。ここでいう「学校」というのは、小学校から中学校・高校・専門学校・大学まで含みます。盗撮は、被害者が被害に気づきにくいというのが最大の特徴です。他の性犯罪と違って「触らない犯罪」だからです。

スマホの普及で、盗撮はとても簡単にできてしまう犯罪となりました。今の子どもたちは、生まれた時から生活の中にスマホがあるので、写真を撮るのは日常の一部です。更衣室や風呂場で盗撮するのもその延長で、あまり罪の意識はないようです。