人生100年時代に従来型の「独学」はいらない

しかし、ここで断言しましょう。

「『人生100年時代』とは、従来型の独学を捨て去る時代である」と。

もうそろそろ、この従来型独学はやめませんか?

「独学を捨て去る時代」宣言の理由はふたつあります。

ひとつは、知識の注入ばかりで活用しなければ、賢くなれないどころか、脳の老化が進んでしまうということ。

脳、とくに前頭葉の老化が進めば、思考の柔軟性が失われるということ――これは再三申し上げてきました。さらに、脳の老化によって感情の老化も加速します。

人生100年を意識して生きていかなければいけないいま、これでは少しも幸せになれそうにありません。

もうひとつの理由は、人との直接的・間接的交流を積極的に図っていかなければ、長い人生の時間を充実させることが難しいからです。

簡単に言えば、間がもたず意欲も湧かず、毎日を無為に過ごすヒマ老人への一途をたどるのです。

人との交流による刺激は、前頭葉の機能低下スピードを緩め、脳の若さ、感情の若さを維持するのに役立ちます。書斎とは言わずとも、自宅にこもって孤高の独学者の道を歩んだとして、それと同じ効果を期待するのは無理というものです。

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のびのび思考とアウトプットのセットを

これまで知識を増やすことだけを勉強と捉え、生涯その勉強スタイルは一貫していると考えていた人は、アウトプットと言われても、まだピンと来ないかもしれません。

しかし、中高年にはもう十分な知識が蓄積されています。いまこそそれをリソースとして有効活用しなければ、いつ使うのでしょうか?

もう一生使わないで終わってしまうのは明らかと言っていいでしょう。

時間と労力をかけて知識を蓄積してきたのは、いったい何のためだったのか。

この問いの答えは、もうみなさんもおわかりですね。使うためです。使うことによって、人生の充実度と幸福度を上げるためにほかなりません。

「のびのび思考とアウトプットのセット」が人生100年時代の新テーマ。

ぜひ、このことを意識してほしいと思います。