お客様から「お腹を壊した」という電話が……
「これはだめだ」と思いつつお母様は、「私が片づければいいか」「ゴミは明日出せばいいか」と、見て見ぬふりをして、何も対応しませんでした。
そして事件は起きます。
何が起こったかというと、店で食事をしたお客様から「お腹を壊した」という電話がきたのです。食中毒の疑いがあり、保健所が店に来て、検査をされることになりました。
結局、食中毒の原因となるような菌は出ず、営業停止は免れたのですが、そこへ来てようやくお母様は動き出しました。
私のセミナーで「感情の5段階」について勉強していたことを思い出して、先ほどの図を見せて話し合ってくださったのです。
すでに事件は起きてしまったけれど、営業停止は免れた、今ならまだやり直せる、と。
「サインの5段階」の最終段階に進む手前で話し合えたのです。
息子が泣いて話した「正直な気持ち」
すると、息子さんは正直な気持ちを話してくれました。「自信がない」と。
修業中の身だったのに、父親の死で突然呼び戻されて、父親と比べられるし、お客様からは「味が違う」と言われる。周りからは「頑張れ」と言われて、それもプレッシャーに感じていた。
人にどう思われているかが気になって、すごくしんどかったと泣いて話してくれたそうです。
息子さんはまだ30歳にも満たない年齢。お母様も突然、夫を亡くしたショックと、息子に何の準備もなく継がせてしまった申し訳なさから、今まで何も言えなかったのです。
二人で、ご主人がなくなってからやっと素直に涙を流して、心から話し合えたそうです。