大きな事件になる前に気づけてよかった

それからお母様は、息子に無理をさせていたのではないかと反省し、「よし、一緒にちゃんと向き合うぞ」と心に決めました。

取り返しのつかない本当に大きな事件になる前に気づけてよかった、これはサインだよと、二人で話し合ってくださいました。

私もコンサルに入り、どんなお店にしたいのか、どんな料理が出したいのか、しっかり話し合いをすることができました。

結果、内装も変えて、お父様とはテイストがまったく違う、息子さんがやりたかった創作料理のお店にリニューアルしました。

創作料理のお店にリニューアル
写真=iStock.com/Rattankun Thongbun
創作料理のお店にリニューアル(※写真はイメージです)

それまでは「お父さんのお店を守らなければならない」と思い込み、どんどんやる気が落ちていたそうです。

リニューアル後は、修業してきたことを生かすこともでき、イキイキと仕事をされています。

全社員が辞職寸前の「大事件」

感情問題を放置しておくと、大きい小さいにかかわらず、何かしら事件が起きてきます。

事件が起こると私たちはその対応に気をとられてしまい、感情問題を置き去りにしてしまいます。そしてまた、解消されなかった感情問題による事件が繰り返し目の前に現れてくるのです。

逆に言えば、何か事件が起きたら、その裏には感情問題が隠れているということ。

この事実を知っておくだけで、問題が解決してしまうこともあります。

これも、私が実際にコンサルティングで経験した、感情問題を見て見ぬふりをしていたある会社のケースです。小さなゴミ一つから、全社員が辞職寸前の大事件に発展してしまいました。